Iife meaning (ページ5)

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力の使い道ページ5

「うん」

全く迷わなかった。

梨奈のためならなんでもできる。

「(それじゃ…明日にでも隣町に行こうか？)」

「うん」

隣町に行くのか…。

少し話していると、いきなり足音が聞こえてきた。

「勇太くん、亡くなりました…」

あの子、勇太くんっていうのか。

…いい名前だな。

「そうですか…かわいそうですね…」

思ってもいないことを言う。

勇太は、幸せになったんだ。

「でも不思議なんです。勇太くん、幸せそうな顔をしているんです…」

当たり前だ。

苦しみから解放されたのだから。

「そうなんですか…でもつらい顔をしているよりはよくないですか？」

「そうなんだけど…」

どうも腑に落ちないようだった。

「あなた方の思う幸せと、患者の思う幸せは違う…ということじゃないんですかね？あと、その…仕事の関係でしばらくここに来られないかもしれないんです。最後に一度、会ってから行きますが…。梨花のこと、よろしくおねがいしますね」

深々と頭を下げる。

すると、看護師さんは頬を赤らめた。

「はいっ！まかせてくださいっ」

頼られていることが嬉しいのだろうか？

やたらいい笑顔だ。

「では」

梨奈のいる病室に向かって歩き出す。

「(ちょっとした助言なんだけど、梨奈ちゃんのことをよく見てみてね)」

よく分からなかった。

病室につくと、言われたとおりに梨奈をじっくりと見た。

すると…１、という数字が見えた。

「これは…なに？」

「(余命。つまり…梨奈ちゃんは一1年後に死ぬ)」

「１年…」

短すぎる。

やりたいことはまだまだたくさんあるのに。

「(大丈夫だよ。君なら助けられる)」

そうか。

僕が命をもらいうけて、梨奈に与えればいい。

それが…僕にはできる。

「(とりあえず家に帰って休もう。長旅になりそうだからね)」

心配してくれている。

とても…頼もしく感じた。

「うん」

梨奈に背を向けて歩き出す。

これから人の命を奪わなければならない。

いや…違う。

もらいうけるだけだ。

苦しんでいる人を助ける。

むしろいい事だ。

罪悪感なんて無い。

無いはずなのに…。