【銀魂】空想世界が現実世界 7【坂田銀時】

変質者 ページ7

店「はい、何をお探しでっ…」


店員が爽やかな営業スマイルを顔に浮かべ、声の主の方へと振り向くと彼女はそのまま固まった。その営業スマイルをひきつらせ、最早引くを通り越して怯えが見える。


「…」


…そして、私も彼女のように固まっていた。顔がひくひくとひきつるのが分かる。周りをあまり見ていないが恐らく店内にいる全員がきっとアレを見たら同じような顔をすることだろう。

…私と店員の視線の先には、怪しいなんて言葉には言い表せないくらいの変質者がいるのだから。


桂「少し伺いたいんだが…」


ロンゲをひっさげ堅物らしい口調のソイツ、じょうい志士の桂小太郎であった。が、今日のソイツはひと味違う。ひと味所ではないかもしれない。何故かソイツはパーティーグッズなんかでよくありそうな髭つき眼鏡をかけていた。…変装のつもりなのだろうか。アレで。


桂「ここに、一日100個限定のぷりんがあると聞いてきたのだが、まだあるだろうか？」


そしてその眼鏡をかけてプリンを買いに来ていたことに更なる衝撃を受けた。変装するのはいいよ。でも髭つき眼鏡はどうなの。隠す所違う気がするんだけど。

店員が怯え混じりでも懸命に笑顔を浮かべようとしている。頑張れ。


店「も、申し訳ございません……今日の分は完売してしまいまして…」

桂「な、なんだと！？」


桂の大袈裟なまでのその声に、店員は「ひっ」と短い悲鳴を上げた。それに構わず桂は「なんということだ…」と深刻そうな雰囲気をかもし出す。


桂「銀時に再び俺達と共に剣を取らせるべくプリンなるもので釣ろうと思っていたのに、それでは計画が果たされんぞどうしてくれるんだ！！」

店「そ、そんなこと言われても…」


目をクワッとさせてそう言う桂。理不尽だ。あれはどう見ても理不尽だよ。店員もうちょっと泣きそうじゃないか。そろそろやめてあげて頂きたい。

どうやらアイツは、銀ちゃんにもう一度仲間になって貰うためにプリンで釣ろうとしていたらしい。突っ込みたい所は山程あるが、今は兎に角髭つき眼鏡が気になる。


桂「クソ…！…これでは銀時と共に真選組屯所に忍び込み屯所内にあるトイレから全てのトイレットペーパーを奪い去る計画が台無しだ！！」

「何そのクソみたいな計画」


…まずい。つい突っ込んでしまった。一瞬目ぇ合っちゃったよ。私は口を手で塞ぎ桂からバッ、と目を逸らした。


桂「…」


が、どうやら桂に私の存在が知られてしまったらしく。


桂「おぉ！A殿ではないか奇遇だな！」


私の名前を呼ぶやいなや、髭つき眼鏡桂は私の元へと歩み寄ってきた。

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