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映した色 ページ43

…ダアアアン!!!

と、そんな破壊音が静かな倉庫に耳をつんざくように響いて、壊れかけたボロボロの鉄製の扉は蹴破られた。壊れた扉は無造作に落ちて、開かれた通路から出てきたのは、


銀「A!!!」

「…ぎ、銀、ちゃ、ん…」


……叫びなくなるくらいに会いたかった、その銀髪天然パーマだった。アイツの声が私の耳に届く。アイツの声で、私の名前を呼んでいる。アイツが、今、私の目の前にいる。それだけで、身体から力が抜けていく。そして。


「…ぎ、…ちゃ…ッ…」


……まるでダムが決壊したかのように、私の目からは涙が溢れ出していた。その透明は、目から零れて頬を伝い、ポタポタと私の膝を濡らしていく。

もう会えないかもと思っていた、もう声すら聞けないのかと思っていたソイツが、息を切らしてそこにいる。それがとても、言葉に出来ないくらいに嬉しくて、気づいたら涙が溢れていた。


男「漸く、白夜叉殿のご登場か」


と、男は私に向けていた刀を一先ず鞘に納めて笑った。それはそれは黒い笑みで。男を囲む他の連中も、銀ちゃんを見つめている。

……そしてソイツ、銀ちゃんは、息を整えると私を一別した。目が合った。あの赤い目が、真っ直ぐに私を捉えている。ただそれだけで、とんでもない安堵感を感じた。

銀ちゃんは私を見つめて、安心したような、柔らかな表情を見せた。……けれど。次の瞬間に、何を見たというのか、銀ちゃんの目は見開かれ、そしてその目は怒りに染まっていく。


銀「……イ、……だ…」

男「ああ?聞こえねーよ」


愛しの彼女に会えて言葉も出ねぇのかァ?と。ソイツはまた嘲笑うように笑う。銀ちゃんは顔をうつ向かせ、左腰にある木刀に手を添えていた。そして不意に、銀ちゃんが顔を上げると。


銀「……ソイツに手ぇ出したのは誰だって聞いてんだ…!!!」


ギッ……、と。銀ちゃんは男達を睨みつけた。その赤い目が、鋭く、ギラリと怒りに光った。それを見た男達はざわめきを沈め、そして怯えにも似たような表情を皆一様に見せていた。そして私も、その目を見て、固まってしまった。

今のアイツのその目の奥は、一体何色をしているのだろうか。さっきまでソイツらの濁って汚い色を目を見ていたはずなのに、それよりも。

……連中の目よりも、銀ちゃんの目は、言葉に表現できないような色を映していた。


「…銀、ちゃん…?」


……まるで、銀ちゃんが銀ちゃんじゃないような。

銀ちゃんなのに→←叫びたくなるくらいに



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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ピピコ - 銀岬さん» ご心配のお言葉、ありがとうございます…!!もう全然大丈夫です!昨日大雨に打たれましたがもう完全復活しましたので!!この物語も終わりへと向かっておりますので、無理はしないように、頑張らせて頂きます!ありがとうございました! (2017年7月19日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
銀岬(プロフ) - 失礼します!風邪大丈夫ですか?体調は気をつけてくださいね!更新無理しない程度に頑張ってください! (2017年7月19日 22時) (レス) id: 6f2670004d (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 狭霧さん» 沢山話しかけてくれて嬉しいです^^ ご心配ありがとうございます!はい!もうすぐに直して私も銀魂映画観に行きます!!もう楽しみでテンション上がりますね!! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
狭霧 - またまたコメントさせていただきます!風邪治りかけは一番大切ですよ気を付けてくださいね。映画見てないけど見る予定絶対見たいでーーす!テンションアゲアゲです!! (2017年7月17日 18時) (レス) id: db8d44fdf5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» ご心配ありがとうございます…!!ホント、もう治りかけなので大丈夫です!励ましのお言葉、とても嬉しいです^^ウッヒョーイですね!早く映画見たいです!! (2017年7月17日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2017年7月4日 17時

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