【銀魂】空想世界が現実世界 7【坂田銀時】

同一人物 ページ35

……見せつけられたその写真。私と銀ちゃんが並んで歩いている所を撮られた写真をただ見つめては、ドクン、ドクン、と波打つ鼓動の痛みを感じる。身体全体が心臓と化したかのような響きに、不快感を覚える。


男「…もう一度聞くぜお嬢ちゃん。この男、『白夜叉』の、……『坂田銀時』の女だな…？」

「ッッ…」


……白夜叉。それは知らないけれど私は確かに、この銀髪の天然パーマ、気だるげ死んだ魚の目の男の女である。『坂田銀時』。その名前と共に『白夜叉』の名前が出ることに、私は違和感しか抱かなかった。


「……何なの…白夜叉って…」

男「…ホントに知らねぇのか。お嬢ちゃん、自分の男に聞いてねーのか？」


聞いていない。そんな訳の分からない話、聞いている訳がない。私は言葉を発さないまま、…発することが出来ないままに頷く。混乱しているせいか、小さな動きだった。


「銀ちゃんとその、白夜叉に、何の関係があるっていうの」


……私が恐る恐るその男に問うと、男はニタリと嫌な笑みを浮かべて口を開く。


男「関係も何も、同一人物だよ。…白夜叉、坂田銀時。10年前、じょうい戦争で伝説として名を馳せた…」


白夜叉。じょうい戦争。10年前。伝説。色々な言葉が頭の中を巡りめぐっていく。頭が痛くなる。知らない情報を一気に入れられてパンクしてしまうようだった。


ー・・『白夜叉』は、銀ちゃん。

この男の言うことが本当のことなら、そういうことになる。10年前のじょうい戦争で伝説として名を馳せたらしい、それ。その戦争のこと自体は、何となくお姉ちゃんから聞いたことがあるような気がするけれど、曖昧な記憶だ。

呆然とするようにその写真に見いっている私を見て、ソイツは鼻で笑うと、写真を私の視界から消し去る。


男「…どうやら、マジで知らねぇようだな」

「…」


……埃を被った冷たいコンクリートの一点を見つめる私と視線を合わせるようにわざわざしゃがみ込み、ソイツは私の目をその濁った目で覗き込んだ。


男「本当に白夜叉は、坂田銀時はお嬢ちゃんの男なんだよな？」

「…」


コクリ。小さく頷くと、男は何が可笑しいのだろう、クツクツと喉の奥で不気味に笑った。


男「テメーの女にテメーのことも話せねぇなんて、……信用されてねぇんだな、お嬢ちゃん」

「ッ……」


私の心臓が、また嫌な感覚で高鳴った。

…男から発された言葉が、まるで私の心を突き刺したように、胸がズキッと鈍く痛んだ。

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