知らないまま 銀時side ページ27
…ヅラのそんな目を見て、俺は何かを予感する。今からコイツは、内容までは分からないとしても、何かしら大事なことを話すのだろうと。長年のコイツとの付き合いの中で培ったものが、俺にそう思わせている。
息を吸い込むようにして、ソイツは口を開いた。
桂「銀時、…、A殿は知っているのか。…俺達の、お前の過去を」
銀「……、」
…ほらな、そうきたよ。と。俺は心の中でそんな風に思いながら溜め息をつく。背もたれにだらしなくもたれかかり、上を仰ぎ見る。まぁ、そこは何の変鉄もないただの木製の天井なのだけれど。視線を逃がしたからって、この話題から逃れることは出来ねぇのに。
…意味のないことだなんて、理解しているのに。
銀「……ヅラ、テメーまさかAに…」
桂「言ってない。いくらなんでもそんな無粋なマネはしないさ」
銀「…そーかよ」
と、何とでもないかのように振る舞って見せるが、内心で安堵したことなんざ情けなさすぎて言えねぇ。Aは、まだ何も知らねぇままだ。それが良いことなのか、悪いことなのか、俺には分からない。
『銀ちゃんはさ、万事屋やる前とか、昔って何してたの?』
Aが俺にそう問いかけてきたことが、脳裏にフラッシュバックしてくる。Aは何も知らず、何の悪意もなく、ただ純粋に俺のことを知りたいと聞いてきた。ただそれだけだったのに。俺はあの時。
銀『俺ァ、Aが思ってるような人間じゃァねェ』
……そう言って、Aを引き離した。Aから紡がれる言葉を拒絶した。……最低なことをした。
銀「……つまり、テメーは何が言いてぇんだよ」
桂「話していないのだな。昔のことを」
銀「…あぁ。話してねぇ。それに……話すべきことなのかもわかんねぇし」
……別に、いいんじゃないか。俺の過去をAが知らなくたって。今あるこの時を、俺とアイツは共に生きると決めた。隣に居ると決めた。それなのに、今更Aに、俺の忌まわしき過去を話した所で、一体何になる?
……Aに嫌な思いをさせるだけだろ。
もしくは、……Aが、怯えるだけ。
銀「…」
俺は多分、それを、恐れている。Aに怯えられることを。拒絶されることを。あの時、自分はAを拒絶しておいて、勝手だとは思うけれど。それでも。
……俺は、怖い。Aに、テメーの過去を知られることが。
ー・・『白夜叉』なんて名前なんざ、知られたかねぇんだよ。
だから俺は今まで、Aに自分のことを語ったことはなかった。
……それを、避けてきた。
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ピピコ - 銀岬さん» ご心配のお言葉、ありがとうございます…!!もう全然大丈夫です!昨日大雨に打たれましたがもう完全復活しましたので!!この物語も終わりへと向かっておりますので、無理はしないように、頑張らせて頂きます!ありがとうございました! (2017年7月19日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
銀岬(プロフ) - 失礼します!風邪大丈夫ですか?体調は気をつけてくださいね!更新無理しない程度に頑張ってください! (2017年7月19日 22時) (レス) id: 6f2670004d (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 狭霧さん» 沢山話しかけてくれて嬉しいです^^ ご心配ありがとうございます!はい!もうすぐに直して私も銀魂映画観に行きます!!もう楽しみでテンション上がりますね!! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
狭霧 - またまたコメントさせていただきます!風邪治りかけは一番大切ですよ気を付けてくださいね。映画見てないけど見る予定絶対見たいでーーす!テンションアゲアゲです!! (2017年7月17日 18時) (レス) id: db8d44fdf5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» ご心配ありがとうございます…!!ホント、もう治りかけなので大丈夫です!励ましのお言葉、とても嬉しいです^^ウッヒョーイですね!早く映画見たいです!! (2017年7月17日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年7月4日 17時