幸せで ページ23
「ありがとね」なんて、あのドS野郎に言う日が来ようとは思ってもみなかったが、おかげで助かった。やっぱり、男の気持ちは男の方が分かるものなのかもしれない。女には分からないものがあるのかもしれない。
人混みに紛れていく沖田の背中をなんとなく見送りながらそう思う。そして自分がアイツにありがとうなんて口にしたことに、なんだか今更違和感を抱いた。
「さて、じゃあ私も大江戸スーパーでも行こうかな」
あそこは色々安いし、私が持っているお金でもなんとかなるだろう。私はその場から歩き出した。行き急ぐようにすれ違う人々の間を縫いながら、頭の中で試行錯誤する。
作るんなら、やっぱりプリンだろうか。一周回って家庭的にホットケーキなんかもアリかもしれない。ケーキとか。あまり難しいものは流石に作れないけれど。
……アイツが喜ぶなら、ちょっとくらい頑張ってやっても、いいかもしれない。
そんなことを思ってみれば、口元には笑みが浮かんでくる。桂やら沖田やらにも、ちょっとくらい分けてやってもいいかもしれない。
なんだか歩いてるだけなのに楽しくて、アイツが喜ぶ顔を想像するだけで胸が暖かくて、幸せで。
少し歩いて、大江戸スーパーへの近道のルートを見つけ、そこに足を踏み入れる。少し薄暗い細い裏路地。ここを通ればすぐに目的地に到着する。
鼻歌混じりにそこに入り、スキップしそうな足取りで歩を進めていた私は、
……相当呑気だった。
裏路地に足を踏み込んで少し。物陰から数人の男達が出てくるまで、私は自分に迫りつつあった危機に気づけないでいたのだ。
「…!?」
口元を歪ませ、悪人面を浮かべたソイツらは、私を嫌な視線で見てくる。突然現れた男達は、あっという間に私の目の前に立ち塞がる。
……ヤバイ。
そう思い、踵を返そうとしたその時には、私の背後にも数人の男達が待ち構えていて、完全に囲まれていた。
「……誰、アンタ達」
思いきり連中を睨みつける私の足は、酷く震えていた。
男「…今は、取り敢えず黙って捕まってくれるか、お嬢ちゃん」
誰か!!!!、と、叫ぼうとしたその時には、私のすぐ後ろに迫った男に口元へと何かを押さえつけられる。白い布。不意打ちで、甘いかおりのするそれを嗅いでしまった。
意識が薄れていく。嫌だ。誰か、誰かと叫びたくても声がもう出ない。
(……銀ちゃん、)
……遠のいていく意識の中、最後に思い浮かべたのは、やっぱりアイツだった。
次の瞬間には、もう私は意識を手放していた。
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ピピコ - 銀岬さん» ご心配のお言葉、ありがとうございます…!!もう全然大丈夫です!昨日大雨に打たれましたがもう完全復活しましたので!!この物語も終わりへと向かっておりますので、無理はしないように、頑張らせて頂きます!ありがとうございました! (2017年7月19日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
銀岬(プロフ) - 失礼します!風邪大丈夫ですか?体調は気をつけてくださいね!更新無理しない程度に頑張ってください! (2017年7月19日 22時) (レス) id: 6f2670004d (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - 狭霧さん» 沢山話しかけてくれて嬉しいです^^ ご心配ありがとうございます!はい!もうすぐに直して私も銀魂映画観に行きます!!もう楽しみでテンション上がりますね!! (2017年7月17日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
狭霧 - またまたコメントさせていただきます!風邪治りかけは一番大切ですよ気を付けてくださいね。映画見てないけど見る予定絶対見たいでーーす!テンションアゲアゲです!! (2017年7月17日 18時) (レス) id: db8d44fdf5 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - ミンティアさん» ご心配ありがとうございます…!!ホント、もう治りかけなので大丈夫です!励ましのお言葉、とても嬉しいです^^ウッヒョーイですね!早く映画見たいです!! (2017年7月17日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年7月4日 17時