幸せを願って八つ ページ10
此処は橘堂。美味しそうに湯豆腐を食べる鏡花。その横に座る僕。
凄い形相の人虎に、しれっとした国木田。
鏡花はお構いなしにと湯豆腐を食べていく。
……うん、可愛い。
「おかわり」
鏡花がお椀を上げながら云った。
人虎は驚いたように肩を揺らす。
「俺は払わんからな」
人虎は若干涙目だが、国木田は冷たく云い放った。
「お客様はお決まりですか」
「……水で」
……どんまい、人虎。
「…ど、どうせなら君も何か食べる?」
人虎が僕に聞いてきた。何だ、大して余裕があるわけでも無いのに。
「お前の財布に余裕があるなら食べてもいいけど、そうじゃなさそうだからいらない」
僕の言葉に人虎は微妙な顔つきをした。
何だよ、僕なりに気付かってやったのに。
**
「両親が死んで孤児になった私達をマフィアが拾った。
私達の異能を目当てに」
「鏡花の異能力の夜叉白雪は電話からの指示にだけ従うんだ。
人虎は気づいてるかもしれないけど、鏡花では夜叉を操れない。
念のため云っておくと僕の異能力は、僕が歩いたりしたことのある場所を操る。
それは所謂道、みたいな感じかな?僕が道とみなせば大体は操れたよ?
僕の場合は逆らえない事も無かったけど、……」
「……!じゃ、じゃぁ携帯電話を捨てれば」
「それ本気で云ってるの?そんなことして殺されるのは鏡花何だよ」
「それに、マフィアを抜けても行く処が無い」
僕達がそう云うと、静まり返る。
…そういう顔が僕は一番大嫌いだ。
「……そうか」
国木田が沈黙した中云った。そして人虎を部屋の外へと連れていく。
そして、結果的に二人きりになった部屋。
「……A、光の世界ってどんな処なのかな」
鏡花が、突然聞いた。でも、僕には残念ながらその答えは分からない。
「……光何て僕には縁が無いからね。残念だけど、僕が鏡花に教えることは出来ない。
でも、僕にとっては鏡花が居ればどんな時でも其処は光だったよ」
「……ありがとう」
鏡花が優しく微笑んだ。
鏡花の笑顔が僕は大好きなんです。
その笑顔を見れるなら、僕なんかがどうなってもいいと思ったんです。
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夜巾恵美(プロフ) - すごくいい話でした!更新待ってます! (2016年12月28日 17時) (レス) id: 8e230ece60 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ - 皆さんそんなに言わなくても....わざとやったわけではないんですし。あきしぐれさん、小説続けて頂けないですか?すごくこの小説好きなんです!! (2016年12月26日 16時) (レス) id: 45fe2ce06f (このIDを非表示/違反報告)
葡萄マスカット - そんな追い詰めないでください!私も外し忘れることありましたし!続きが気になりますし…!続けて頂けないでしょうか? (2016年12月22日 18時) (レス) id: 61468344c7 (このIDを非表示/違反報告)
優心(プロフ) - 続きがとても気になります…!読みやすいし面白いので続けてくださると嬉しいです…! (2016年12月22日 18時) (レス) id: a484890e73 (このIDを非表示/違反報告)
鬼血柩(プロフ) - 私も前に外し忘れたことがあるから大丈夫ですよー。(´・ω・`)言われてすぐに外したんだから大丈夫でしょう。 (2016年12月22日 18時) (レス) id: 6d22c5081a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきしぐれさん | 作成日時:2016年12月17日 20時