幸せを願って七つ ページ9
暖かくもなく、寒くもない速度で僕の体は落ちていく。
まぁ、あくまで感覚的な話。本当はものすごい速度で落ちてる。
僕はもう死んでしまおう。
僕一人が死んだところで、何も変わらない。
だったら、別にいいじゃないか。
……あぁ、でも
「何で、こうなっちゃったんだろう」
僕の目から滴が零れ、宙へと舞う。
そして、その滴と舞う二つの影。
「!?鏡花と、人虎……?」
鏡花は僕の手を握った。そして、人虎は僕を掴むと爆弾をその獣の腕でちぎった。
そして、爆発する爆弾。
僕には、その行動が到底理解出来なかった。
一体何が、鏡花と人虎を動かしたのか、全く分からなかった。
でも、僕は何だか嬉しくなった。
誰かが僕に対してそういう感情を持ってくれたのかもしれないから。
生きてていいよって、云われたみたいだった。
「…ごめん、なさい」
そんなこと、僕が想っていいはずないのにさ。
僕は、落下しながら意識を失っていった。
**
目覚めたのは何処かも分からないベッドの上。
隣のベッドには鏡花が寝ていた。相変わらず整った容姿で、可愛いな、と僕は思う。
僕はそんな彼女に見惚れていると、鏡花の目が開かれる。
すると、隣に居た大人の女の人が気付いたようで、外に人を呼びに行った。
入ってきたのは人虎と長髪の男だった。
「……大丈夫?」
人虎は聞いてきた。僕は、「此処何処」と、ソイツの顔を見ずに尋ねた。
「ここは、探偵社の医務室。具合どう?」
僕と鏡花に人虎は聞いた。
「おかげで最悪だよ。」
鏡花は黙っていた。まぁ、こういう時は喋らない方が楽だよね。
「娘、小僧。黒幕の名を吐け」
長髪の男が聞いてきた。偉そうで何だか腹が立つ。
「マフィアの部隊は蛇と同じだ。頭を潰さん限り進み続ける。答えろ。お前らの上はだれだ」
「く、国木田さん」
人虎が焦ったように云った。……此奴の名は国木田と云うのか。
「……橘堂の湯豆腐」
鏡花が呟いた。
僕は何となくピンとくる。
「おいしい」
鏡花が静かに云った。……可愛い。
「食わせろ、という事か?」
「食べたら話す」
「なぁんだ良いよそのくらい」
人虎のその言葉に僕は大笑い。国木田は変な顔してる。
この人、絶対分かってない!
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夜巾恵美(プロフ) - すごくいい話でした!更新待ってます! (2016年12月28日 17時) (レス) id: 8e230ece60 (このIDを非表示/違反報告)
カンナ - 皆さんそんなに言わなくても....わざとやったわけではないんですし。あきしぐれさん、小説続けて頂けないですか?すごくこの小説好きなんです!! (2016年12月26日 16時) (レス) id: 45fe2ce06f (このIDを非表示/違反報告)
葡萄マスカット - そんな追い詰めないでください!私も外し忘れることありましたし!続きが気になりますし…!続けて頂けないでしょうか? (2016年12月22日 18時) (レス) id: 61468344c7 (このIDを非表示/違反報告)
優心(プロフ) - 続きがとても気になります…!読みやすいし面白いので続けてくださると嬉しいです…! (2016年12月22日 18時) (レス) id: a484890e73 (このIDを非表示/違反報告)
鬼血柩(プロフ) - 私も前に外し忘れたことがあるから大丈夫ですよー。(´・ω・`)言われてすぐに外したんだから大丈夫でしょう。 (2016年12月22日 18時) (レス) id: 6d22c5081a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきしぐれさん | 作成日時:2016年12月17日 20時