Merry bad END ページ38
.
フェーヂャが云うには、どうやら台風が来ているらしい。
本日も裏路地へ行けなさそうだと思った私は、機密書類が山のように並んだ此の部屋で書類整理を手伝っていた。
「フェーヂャ、此方の名簿はどうしましょう」
「棄ててしまって大丈夫ですよ。……嗚呼、後其方も」
「畏まりました」
パラパラと書類を大方捲り、必要な書類が混ざってないか確認してからシュレッダーへと掛けていく。
機械音を立てて、粉々に粉砕される書類たち。
同じように渡された書類を捲ると、ハラリと写真が1枚落ちる。其れを拾い上げて写真を見た瞬間、電撃が五臓六腑を駆け巡った。
白目を剥いた異世界転送の異能者の額に、弾丸が埋め込まれている写真だった。
「…は………」
白枠には今日の3日前の日付が記されている。此の時はフェーヂャの直筆だ。
「A?どうかしました?」
突然手を止めた私を心配したのか、フェーヂャが私の顔を覗き込んできた。
けれど彼は直ぐに気が付いた様で、『見てしまいましたか』と私に微笑んだ。いつもの笑顔だ。
「ふ、フェーヂャ、此の男は…」
「嗚呼、彼はぼくにとって少々お邪魔な存在になってしまったので」
「異世界に転送する異能者ですよね…?」
「ええ、そうですが」
【お邪魔な存在】
……いや、決してフェーヂャの言葉を疑っている訳では無いのだけど。
記してある日付は数日前。昨日の時点では既に始末されていた筈だ。
ならば何故昨日に言ってくれなかったのだろう。
「すみません、昨日は忘れてしまっていたので」
私の心を読んだかのように笑顔の顏を崩さず、フェーヂャは私に伝えた。
「フェーヂャが忘れるだなんて、珍しいですね」
「ぼくにもそう云う日はありますとも。
巷で【魔人】と呼ばれ恐れられている者が何を言っているのやら。
そうなると、私はあの世界へもう行けなくなってしまった訳だ。
「…A、どうか落ち込まないでくださいね。元の生活に戻っただけですよ」
「……………はい」
「彼らが居なくとも、ぼくが居ますから」
終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←Merry bad END
446人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時