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結界越しに差し伸べられた手を見て、私は一度大きく深呼吸をした。
「帰りません」
真正面からハッキリ言い捨てると、目の前で目を細めたままのフェーヂャが固まったのがわかった。
「………何故です?」
「そのままの理由ですよ。帰りたくないからです」
考えてみれば今迄フェーヂャの言う事に逆らうこと何て、一度も無かった。
彼の異能が怖かった事も有るかもしれない。
血を花弁の様に舞散らして倒れてゆく人間を目の前で何度も見てきた。
けれど自分は "実の妹" なのだと心の何処かで高を括り、侮っている私は居たのだ。
『絶対大丈夫だ』
『私には異能は使わないだろう』
と安心して。
気が付いた時には青白い結界にはミシリ、と音を立てて亀裂が入っていた。
「私は此処で自由になりたいのです。友人と一緒に学び、生活を共にするのはいけないのですか?」
ミシッ……パキッ
「元の世界は今は平和でしょう?私が此処に居て悪い理由等は無いかと」
メキメキッ…バキッ
「ねぇフェーヂャ、元の世界とこの世界を行き来するのも駄目なのでしょうか。私は既に大人ですよ?いい加減、自分の行動は自分で決めたいです。なので」
メキッ……パキパキッ…
「嫌いです、フェーヂャ」
バキャッッッ
遂に結界は一面亀裂塗れになり、破壊された。
イデアくんやアズールくん達はもう一度結界を張ろうとマジカルペンを振るも、一度破壊された結界は再び掛からない様で苦戦している。
見事己の圧だけで魔法士の結界を崩壊させたフェーヂャを見やると、彼の麗しい
「ぼくのことを、嫌いに?」
「…ええ、嫌いですよ。何時までも私を縛る貴方なんて」
彼は今にも異能を発動させんとばかりに殺気を滲み出している。
若し発動させたら私が真っ先に彼に飛びついてやろう。そうなれば幾分かは反省するのではないか?
それに、兄の異能で生涯を終える何て結末も、佳いのかもしれない。
内心自嘲すると、フェーヂャが人形のようにフラフラと私たちの方へ1歩前進した。
何時異能をされても佳い様に、私は彼等の前に立つ。
ほんの一瞬ピクリと身体が何かを感じとった。
『罪と罰』が発動されたのだ。
自然と身構えていると、フェーヂャの後ろに砂色のコートが揺れたのが見えた。
───「はぁい、そこ迄だよ。魔人」
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瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時