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「フロイド」
アズールのオレを窘めようとする声が聞こえる。でも無視した。
「ペンギンちゃんだって、ずっとあの兄ちゃんに縛られて暮らすのなんてつまんねーしヤでしょ?」
「………。」
「言いなりばっかでさ、自由になりたいとか思わねぇの?」
ペンギンちゃんは俯いたままで、顔色はわかんない。
人の家庭事情には口出しすんなって昔稚魚の頃、母ちゃんに言われた覚えはある。
でも言い出した口は止まらない。
「フロイド、もういい加減に」
「わかりました」
「え」
「帰りません。フェーヂャが迎えに来ても、帰りません」
パッと顔を上げたペンギンちゃんは、真っ直ぐオレを見てた。
こえー兄ちゃんの濁った目とは違う、宝石みたいに綺麗で、海みたいに透き通った目。
「い、いやいやいやいや、いいの!?お兄さん絶対キレ散らかすよ!?」
「いいんです。フロイドくんの言葉に納得してどんどん腹が立ってきました。彼もいい加減妹離れも佳い頃かと」
「本気と書いてマジのパターンっすわ……」
「大体、フェーヂャとは少し生まれた瞬間が違うだけで、若しかしたら私が姉だった可能性だって有った訳じゃないですか。妹だからって何でも従わなきゃいけない
ペンギンちゃんはつらつらと今まで隠して来た自分の本音を話していく。
ずっと鬱憤が溜まってたみたい。
「兎に角。彼が此処に来ようが私は帰らないですからね」
「誰が……ですって?」
「「え」」
この部屋に居ないはずの声が聞こえた。
いつの間に、と気付いた頃にはペンギンちゃんの後ろにあの兄ちゃんが立ってた。
「……け、結界魔法、展開!」
すぐにホタルイカ先輩が兄ちゃんに結界魔法を掛けた。水色の四角い箱が取り囲んだ。
「おやおや。結界、ですか」
アズールよりも胡散臭い笑顔を貼り付けたままの兄ちゃんは動じてない。寧ろ、慣れてるみたいな態度だ。
「お久ぶりです、皆さん。今日ぼくが来た理由は逃げてしまった "
「……何故此処に居ると?」
「何時まで経っても出て来ない妹を心配して洗面所へ行けば、鏡が此方の世界を映していまして。シャワー室を覗いても、ぼくの可愛い妹の姿は無かったものですから」
流石にそこは盲点だったのか、ペンギンちゃんは溜息を吐いた。
「さぁ、帰って夕食にしましょう。ゴンチャロフが待ってますよ」
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瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時