Normal END ページ29
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小エビちゃんがほんとの小エビみたいに震えながら、言葉を紡いだ。
エビなのに顔面真っ青って、ちょっとウケる。
でもオレだって信じたくない。
いつか帰っちゃうのはわかってた。
だけどもっと遊びたかった。もっとギュッてしたかった。もっとおしゃべりしたかった。
みーんな黙って、俯いたままの小エビちゃんの言葉を受け入れてた。
夜の海辺みたいに静かな時間が流れる。
………だからかな?
オレ、聞こえたの。
カツカツヒールを鳴らして走る音。
嗅ぎ覚えのある優しい匂いが仄かにオレの鼻腔を擽った。
チラッとジェイドの方を見ると、ジェイドと目が合った。ジェイドも気付いたみたい。
足音はどんどんオレらのいる部屋に近付いて来る。
そして、立ち止まった。
「イデアさん、どなたかお呼びしていたのですか?」
「い、いや………誰も呼んでないハズ…だけど」
バン!!!!!
部屋のドアが勢いよく開かれた。
チラリと映ったのは、白いモフモフと黒いコート。
やっぱり、そうだったんだね。
オレは反射的に抱きつこうとしたけど、それはドアの前にいた小エビちゃんに抱きついた。
「……やっと、戻ってこれました………」
聞きたかった声。
皆驚いてた。
「アッバババババババ」
「会いたかったです、皆さん」
「ババババババババババババ」
小エビちゃんはバグった。
うん、オレらも会いたかったよ。
「おかえり、ペンギンちゃん」
顔を上げたペンギンちゃんは今までに見たことないぐらいの笑顔で、ただいまです、と返した。
やっぱかぁわいいねぇ♡
「いきなり居なくなってしまって、僕達は心配しましたよ。どうしたのですか?」
「すみません。フェーヂャに連れられて、元の世界へ帰っていました」
あーやっぱり。
「で、ででででも、あのお兄さんが易々と帰す訳ないし…どうやって戻って来れたの?」
「本当は異能者に送ってもらおうとしたのですが…………その方は既に始末されていまして」
「ヒェッ」
「ポケットの中にマジカルペンの石が入っていました。その石を持って洗面所の鏡を通ってこの世界へ来ましたよ」
ほらこれ、とポケットの中から出したのはイグニハイドのマジカルペンの石。
「…でもまたペンギンちゃん、帰っちゃうの?」
「……………。」
「………ヤダ。帰らないでよ。ずっとこの世界で暮らせばいーじゃん」
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瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時