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119話 ページ23

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" その日 " は遂にやってきた。

何時かはやってくると覚悟はしていた筈だが、いざ目の前にすると固めた覚悟はいとも容易く打ち消されてしまう。



何があったのかと云うと、だ。



とある朝、自身を優しく起こしたのは己の片割れであるフェーヂャ。未だ眠たい目を擦り、うつらうつらとしている私。

そんな様子を見て、彼は微笑みながら囁いたのだ。



「元の世界に帰りますよ」



一瞬、彼の言っている意味が分からなかった。

けれどそれはほんの一瞬。吐かれた台詞は直球にしてそのままの意味を持っていた。

私にとっては正に《悪魔の囁き》だったのだ。



「あの戦争は集結したのです。ぼく達、天人五衰の勝利に終わりました」



本来ならば、以前の私ならば、その報告は喜んでいた。きっと喜びの余り彼と抱擁していたただろう。



「…あの、フェーヂャ」

「はい?」

「………この世界に居続けるのは不可能でしようか」



彼は数回瞬きをし、ベッドに座ったままの私の目線に合わせて屈んだ。

意外だ、とでも思っているのだろうか。


「A」

「!」



合わせられたその瞳は冷たく、何処までも昏い(くらい)淀みを含んでいたのだった。自分の手を、布団を握り締めている私の手に重ねて彼は再び囁く。



「帰りましょう、ぼくと。元の世界へ」

「………………はい」



有無を言わせない圧力に、小さく頷いた。


彼が一瞬微笑んだかと思うと、辺りが青白く輝く。

酷く眩いその光に私は目を瞑った。



「……?」



いつの間にか座っていたベッドのマットレスの感覚は無くなり、潮風の匂いが鼻を擽った。



「目を開けてください」



優しく諭される声が脳に響いた。
フェーヂャの声。


ゆっくり目を開けると、そこは見慣れたヨコハマの地。

反射的に自分の衣服を確認すると、あの学園の制服は身に纏って居らず、今私の身体を抱き抱えているフェーヂャとお揃いのシャツとスラックス、そして外套。


勿論胸元のポケットにはマジカルペンも、あの蒼く光る石も姿を消していた。



「さあ、ゴンチャロフが待っていますよ」

「…ええ」



心地良い振動に身を任せる傍ら、頭の中は学友達で埋め尽くされていた。

さよなら。其の四文字すらも言えなかったのだ。


素直に従ってはいるものの、私は内心複雑だった。

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瑞稀 - 好きとしか言いようがないっすわ…監督生の言ってることに共感しか湧かないのは何なんすかね…神作ktkr(ありがとうございます) (7月21日 4時) (レス) @page38 id: 0ecff74da0 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - 双子の愛が素晴らしいなと思いました!双子と呪術廻戦のクロスオーバーが見たいです! (2021年3月27日 0時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - → 私自身が片割れになった様な気持ちで読んでいたので余計…笑 何度でも云えますが、本当に素晴らしい作品でした。有難う御座います。 (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
煨(ウズミビ)(プロフ) - 初めまして、つい先程一気読みさせて貰いました。私はtwstは余り詳しく無いのですが、読んでいて迚も楽しかったです。フェーヂャと片割れに関する監督生さんの語り等……所々笑いながら読めて面白かったです。又、自分が二次創作の中の伽羅と云うのが不思議な感覚でした (2021年2月9日 1時) (レス) id: eaf0a1c543 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ミ゜ッ(死亡) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年7月24日 0時

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