93話 ページ45
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イデアくんが呪文を述べる。
床に書いた魔法陣が青白く輝き、光の粒子が少しづつ人の形を纏ってゆく。その眩しさに目を細めたが、徐々に落ち着きを見せた頃に再び目を開けた。
癖のある長い白髪。白皙の肌。白い容貌の中、真紅の瞳が昏く煌く。
6年前と何一つ変わらない風貌の彼が、そこに立っていた。
「君は……………」
「お久しぶりです、澁澤さん」
その様子を見ていたイデアくんは懐疑的に私と澁澤さんを交互に見た。
「……A氏の彼ピッピ?」
「かれぴっぴ…………?いえ、唯の古い友人ですよ」
「友人とは言ってくれるな、A君。
誤解しか招かない台詞だ。いや、事実ではあるが。
「骸砦のことでしょう。貴方、二度死んでも頭は変わらないのですね」
「嗚呼、そうだね。この世界はヨコハマとは違うようだが………此処でも君は私を救済する
「そんな
会話に1人取り残されたイデアくんは訳が分からないと言うような顔をしている。
「ご紹介しますね、彼が『 澁澤 龍彦 』です」
「………私を導いたのは君だったのか」
「エッ」
「敦君との闘いに敗れて永らく深淵を彷徨っていた筈なのだが、君の髪と同じ蒼炎が私の身体に纏ったのだ。……そして、気が付いたら…」
「此処に居た、と云う訳ですね」
そうだ、と彼は微笑んだ。
2回も死を迎えたからか、その笑顔に " 毒 " は無いように感じた。
「彼女に再び再開させてくれたことを感謝するよ、蒼炎の少年」
「は、はい………。ぼ、ぼぼ僕はイデア・シュラウドって言います……ハイ…」
「シュラウド……。死体を覆う白い布のことか。今の私に合っているじゃないか」
確かにそうですね、と私が笑えば、澁澤さんは私の両手を握った。
「今の君は…18歳の頃だな。着ている物は制服の様に見える。学校でも潜伏しているのかい?」
何故18歳と云うのが分かったのかはさておき、彼の問に答えを告げた。
「いえ、此処は別世界の魔法専門学校です。貴方はイデアくんの召喚術で呼び出されたのですよ」
「ふむ、魔法……か。別世界ならばきっと君はフョードル君が送ったのだろう。そうでなければ彼もきっとこの世界に居る」
「その通りです」
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アババババ - 80話の最後のフロイド君の発言で草生えました! (2022年11月19日 23時) (レス) @page32 id: 222bdc0355 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» 承認しました!こちらこそよろしくお願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - あ〜ちゃんさん.......私も好物なので有り難いです......!ぜひ御願いします! (2020年7月23日 21時) (レス) id: fc34ad99ff (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - あ〜ちゃんさん» 柘榴です!よろしくお願いします! (2020年7月23日 18時) (レス) id: f20993b4a3 (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - 猫さん» OKです!ありがとうございます!! (2020年7月23日 13時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年6月29日 0時