41話 ページ42
.
「お前たち、ご苦労だったね。……A、来てくれて嬉しいよ」
「初めまして、だよな?俺はトレイ・クローバー、この寮の副寮長だ。よろしくな」
「A・ドストエフスカヤです。こちらこそよろしくお願いします」
短髪で眼鏡をかけたトレイさんは、安心感があるような笑顔で、彼等も私たちと同じ席へと腰掛けた。
私は紅茶でも飲もうと思ってティーポットを持ち、カップに注ぐべく傾ける。だが、一向に紅茶が出てこない。
不思議に思ってポットの蓋を持つ。
「あ、その中身は…!」
「え?」
デュースくんの止める声も虚しく、カポ、と蓋を開けてしまった。
中身を見ると、お湯も茶葉も入っていない。その代わりに、1匹眠っている鼠が入っていた。
「眠りネズミ、だよ。何でもない日のパーティーでは入れるルールなんだ」
「なるほど。………ネズミ、ですか」
「あ゙っ゙…………………」
「ふな゙っ!?」
「ど、どうしたんだよ監督生!」
「いきなり白目剥きだすなんて…」
「ネズミ…………死の家の鼠…………」
日も暮れ始め、パーティーもそろそろ終盤のようだ。
「ほら、あーんだ」
「あー?」
「よしよし、いい子だ」
「………ねぇ、トレイくんっていつの間にAちゃんのこと餌付けしてたの?」
トレイさんは私を気に入ったのか、次から次へとケーキを口へ運んでくる。昔はフェーヂャによくやられたなと思いつつ、口を開ける。
「美味しいか?」
「ん、美味しいれす」
「………なんかこうして見るとトレイ先輩がA先輩のお兄さんみたいだな」
エースくんが呟く。
「マジで頷きたいけどAさんの方が年上なんだよ…この世界に来た衝撃で18に見えるだけで…………」
「「えぇ!?」」
私にケーキを運んでいたトレイさんも驚いている。何もそんなに驚くことは無いでしょうに。
「そ、そうなのか!?てっきり、1年か2年かと思ってたな……」
「僕も同感だよ。まさか先輩だったとは…」
「けーくんは知ってたけどね〜」
「それに双子のお兄さんもいますよ」
本日二回目の驚嘆の声が上がった。
混乱のまま『何でもない日のパーティー』は幕を閉じ、私はイグニハイド寮へと荷物を取りに向かったのだった。
1004人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
【ツイステ × 文スト】魔人の双子の妹は異世界へ飛ばされたようです《3》
〈ツイステ〉 ねじれた世界の御伽噺 第六幕
もっと見る
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明日羽(プロフ) - 22話「ナンヨウハギ先輩」と書いてありますが、イデア君のことを言っているなら「ホタルイカ先輩」ではないですか?意図的にやっていたらすみませんm(_ _)m (2022年8月24日 21時) (レス) @page23 id: 671ce2cf6e (このIDを非表示/違反報告)
あかさたな - かなり前からこの作品見てますもう尊すぎです…今更なんですけどツイステって中学じゃなくてミドルスクールだったような気がします。ツイステマジで初心者なので間違っていたらすみません… (2022年1月16日 11時) (レス) @page41 id: 2a968727d8 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ぴぃやああああああああああああああああああ無理、無理、兄弟愛尊いよぎぃやあああぁああぁぁあぁぁあああぁぁああああぁあ。 好きです。 (2021年1月11日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - そらちゃんです!!さん» うわああああああああああありがとうございますううううううう(歓喜) (2020年6月28日 16時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
そらちゃんです!!(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおすきですうううううううううううううううううううう、!!!!!特にユウの絡みが好きです! (2020年6月28日 10時) (レス) id: c4f3cb5b0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年6月16日 22時