13話 ページ14
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全身鏡に写るのは、着替え終わった私の姿。
黒いブレザーに同色のスラックス。
イグニハイドのイメージカラーであるシアンのベストとリボン。
胸元にはブルーサファイアのような石が光るペン。
学園長はこの石を魔法石、と言っていた。魔法士にとっては心臓のようなものらしい。
───「宝石?あんな石コロ興味ありません」
片割れが何時か言った台詞が脳を反芻した。
…皮肉なものだ。貴方の言う石コロをこれから心臓のように大事にしなきゃいけないなんて。
鏡に写る自分の胸元で光る石を一瞥し、イデアくんの待つドアの向こうへと歩き始めた。
あぁ、そうだ。このロシアン帽だけでも被っておこう。
フェーヂャを何時でも思い出せるように。
「お待たせしました、イデアくん」
「……!!」
制服に身を包んだ私を見るやいなや、彼は目を見開いた。
「似合いませんでしたか…?」
「そ…そんなことない……!似合って、るよ………その、すごく」
「ありがたいお言葉、感謝申し上げます」
「ほ、ほら、行こうか」
私はイデアくんの後を付いて行った。
ここで似合わない、なんて言われたらフェーヂャもきっと似合っていないことになっていたんだな。と思いつつ。
「オルトくんは……?」
「オルトは魔導エネルギーの充電式だから食べ物は食べないんだ……はぁ…大人数の中に行くとかマジ無理……」
イデアくんはどうやら人の前に立つことが苦手らしい。気持ちはわからなくはない。
鏡をくぐり抜けると、行き交う人の数が増えていた。
リボンの色も赤色や黄色、紫などカラフルだ。
「ここが大食堂。……こっちの厨房まで行って頼みたいものを言うんだ」
「なるほど…。おや、あの方達は人間ではないのですね」
「うん、ゴーストっていうんだ。あ…でも悪さとかはしない良い人たちだから安心してね」
ゴースト………と言うと、幽霊だな。
死んだ者もここでは働かされるのか…。
死後も救済されることなく労働を強いられるなんて酷な世界だ。
そう思いながら、長蛇の列に並ぶ私たち。
「ここのメニューにボルシチはありますか?」
「うん、あるよ。北国出身の人達がよく頼んでるらしい」
…ロシアという国はないのに、その国の郷土料理は出されるのか。何とも不思議な世界だ。
「……き、気になってたんだけど、この帽子は取らなかったんだね」
「ええ。兄とお揃いの物なんです。……思い入れが一際強かったので…」
「…そっか」
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明日羽(プロフ) - 22話「ナンヨウハギ先輩」と書いてありますが、イデア君のことを言っているなら「ホタルイカ先輩」ではないですか?意図的にやっていたらすみませんm(_ _)m (2022年8月24日 21時) (レス) @page23 id: 671ce2cf6e (このIDを非表示/違反報告)
あかさたな - かなり前からこの作品見てますもう尊すぎです…今更なんですけどツイステって中学じゃなくてミドルスクールだったような気がします。ツイステマジで初心者なので間違っていたらすみません… (2022年1月16日 11時) (レス) @page41 id: 2a968727d8 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - ぴぃやああああああああああああああああああ無理、無理、兄弟愛尊いよぎぃやあああぁああぁぁあぁぁあああぁぁああああぁあ。 好きです。 (2021年1月11日 16時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
あ〜ちゃん(プロフ) - そらちゃんです!!さん» うわああああああああああありがとうございますううううううう(歓喜) (2020年6月28日 16時) (レス) id: 9c71528097 (このIDを非表示/違反報告)
そらちゃんです!!(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおすきですうううううううううううううううううううう、!!!!!特にユウの絡みが好きです! (2020年6月28日 10時) (レス) id: c4f3cb5b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ〜ちゃん x他1人 | 作成日時:2020年6月16日 22時