[刀ミュ]その視界に[つはもの]

特別編−happy Valentine 洸ver. ページ38

遅刻バレンタイン！恋人設定。
色々深く考えずに呼んでください…。

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切り裂く様に冷たい風が首元を吹き抜ける。
暖かくなったと思ったら最近はまた一層寒さが厳しくなってきた。

「あきら、手」「はいはい。」

隣を歩く恋人の手に指を絡めて彼のポケットに突っ込む。
子供みたいに暖かいけど、ゴツゴツしてて大きい所がたまらなく好き。

デートの帰り道ってなんでこんなに愛おしくなるのか。
1秒でも長く洸のそばに居たいと思ってしまう。



「ねぇA、」「なに？」

洸が腕を引いて、さらに密着する。


「今日何の日か知ってる？」
「・・・バレンタインでしょ。」





「俺にチョコ、くれないの？」



ど直球ストレート、意地悪スマイルを乗せて。
そんな顔でこっち見ないでくれ。好きになっちゃう。




「・・・ほんと、敵わないなぁ。」


鞄から小さな赤い箱を取り出す。
別れる直前に押し付けようと思ったのに。
面と向かって渡すなんて、恥ずかしすぎる。



「え、手作り？」「一応。味は保証しないけど」


その言葉を聞いて洸が目を輝かせる。


「そんなの気にしないから。
え、てかめっちゃ嬉しいんだけど。」


手作り、手作りかー、とまるで子供みたいに興奮を隠しきれないといった姿に思わず笑みがこぼれた。



誰かにこんなに喜んでもらえるのは、やっぱ嬉しい。



家でゆっくり食べるな、と鞄にチョコをしまう洸。


すると、






ちゅ、と頰に柔らかな感覚。


北風で冷えた顔にどんどん熱が集まっていく。






「ホワイトデー、楽しみにしてて。」









・・・それはずるいよ、王子様。


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