好き、嫌い、好き (ページ44)

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なかなか混雑してる電車。
こういう時、自分の身長を呪う。

まだ長い時間乗らないだけマシだけど、
10分くらいの時間がなかなか苦痛だ。

なんとか電車から降りて、
ひとつため息をこぼすと

｢あれ、彩ちゃん？｣

振り返ると、照くんと阿部くんがいた。

｢おはよう彩。｣

呼び捨てにされるのは
まだ慣れないけど、そこまで悪い気もしない。

『照くん、阿部くんおはよう。』
｢おはよ！今日は髪の毛下ろしてるんだ？｣

外に出る時はいつ照くんに会うか
分からないから、ポニーテールにしてた。
でも今日はする気にならなくて
アイロンかけて、ストレートで下ろしていた。

『うん、今色々髪型を思案中でして。』
｢あのボブに見えるヤツ、似合ってたよ。またしてよ！｣

照くん、君は罪な男だな。
単純な私は、素直にやってしまいそうだよ。

｢いっそのこと切っちゃえば？｣

軽く阿部くんに言われて、
まあそれもありだなあ、なんて思う。

今度の休み、美容院でも行くかなあ。
あ、でも、ふっかと遊ぶ約束してるしな。

今日の午後は……
あ、講義ない。よし、切ってしまうか←

『検討します。』
｢楽しみにしています。｣
｢右におなじ。｣

3人で学校へ向かい
途中で別れて、講義室へ向かう。

中に入ると、涼太が座っていた。

『涼太おはよう。』
｢ああ、彩おはよう。……髪の毛綺麗だね。｣
『えっ、そうかな。へへ、嬉しい。』

涼太の隣に座ると、
そういえばと呟く涼太。

｢昨日、何かあった？綺麗な格好してた。｣

涼太も見てたのか。
ってことは朱音も一緒だよね。

『うん。食事会があったから。』
｢あ、そうなの？楽しかった？｣
『うん、楽しかったよ。』

昨日の食事会は楽しかった。

でも次はどうなるかわからない。

毎回楽しい方が多いけど、
やっぱり緊張もするし、疲れちゃう。

3人は優しいけど、
甘え方もよくわからないし。

｢彩…？なんか疲れてる？｣
涼太が心配そうに覗き込んでくる。

『ううん、そんなことない。でも昨日あまり寝れなかったから。』
あなたの幼なじみがとても元気だったので←

｢そっか。講義中寝ないように気をつけなね。｣
そう言っていつものように頭を撫でる。

『涼太に撫でられると寝ちゃう。』
｢じゃあ今日はやめとこう。｣
『え、今日だけ？』
｢そっ、今日だけ。｣

ほんと妹扱いするなぁ。
半分なんで？って思うけど
半分嬉しい。

私には優しいお兄ちゃんが二人いて
幸せ者だね。
うん、幸せなはず。