一瞬の夢をあなたと。 (ページ36)

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本当は泣き虫な君へページ36

Side Black

助けて、なんて俺に言ってくるとは思わなかった。

俺にだけじゃない。金田が誰かに助けを求める印象が一切なかった。

だからこそ心配ですぐに電話をかけた時、彼女は泣いていた。

泣かないで、お願い。

こんな俺を友達だと言って笑ってくれた君を、俺は見捨てられないよ。

黒｢…金田。どれくらい、そこに居なきゃいけないの？｣

『約束は、あと2週間。』

黒｢そっか。じゃあそのあとは俺のとこ来なよ。｣

『え…それはダメだよ…康ちゃんにお願いしようと…』

黒｢どっちも一緒。元カレより友達の方がマシでしょ？｣

『……目黒くんのとこ行くと、迷惑になるのわかる。たぶん、渡辺さんたちに反対されるから…康ちゃんなら反対はされないし…。部屋は自分で探すし、早めに出るから。』

黒｢…友達でしょ？俺に頼れよ…。｣

『これでも頼ってるんだよ？ごめんね、こんな電話して。』

黒｢お前からのメッセ、怖かったし、嬉しかったよ？｣

『え？』

黒｢お前が本当に友達って思ってくれてるんだなって思った。｣

『…ふふ、知り合ってからは長いのにね。』

軽く笑う君の声に少しほっとして。

黒｢なぁ金田。｣

『ん？』

黒｢岩本くんのとこあと2週間いるなら、ちゃんと楽しみなよ。好きな人と一緒にいるのは、…幸せなんだと思うよ。｣

『そう、だね。前向きに、考えるよ。』

あんな大人な人が私を好きになるわけないって分かってたのになって、いつの間にかワガママになってたって、悲しそうに呟く君。

そばにいたら、抱きしめてやれるし…
いや、友達だからダメか。

でもずっと傍にはいてやれる。

黒｢またくだらない話でもしようぜ。｣

『へへっ、そうだね。』

俺の友達は、本当は泣き虫なんだな。

また泣き出してる。

ああ、その涙を拭ってやりたい。