降谷暁 × 充電 ページ10
-
「どうしたの？急に会いたいだなんて…」
私の彼はプロ野球選手。高卒でドラフト１位でプロ入りし、今では先発ローテーションの一角を担う若きエースだ。その一方で"大谷2世"と呼ばれ、二刀流として活躍を期待されている為、登板日だけでなく毎日のように試合に出場している。
そんな彼とは対照的に一般企業に勤めるどこにでもいるようなＯＬの私。今日はお酒の勢いで「会いたい」とだけの短いメールを彼に送ると息を切らして本当に会いに来てくれた。
「暁に会いたくて」
そう短く質問に答えるとすっと長い手を伸ばして私の頬に添える。
「本当に、それだけ？」
真っ直ぐ私の目を見て「何かあった？」と付け足して聞いてくれるので今度は私が手を伸ばして逞しくなった背中に手を回す。
「本当は、仕事でミスしちゃって」
ぎゅっと抱きついてそう言うと彼も私の背中に手を回して「そっか」とだけ呟き、優しく背中を撫でてくれる。
その瞬間、我慢していた感情がお腹の底から込み上げて来て、彼の胸元に黙って顔を埋める。その間も彼は黙って私の背中を撫でたり、ぽんぽんと優しく叩いてくれたりしてくれて私が落ち着くのを待ってくれる。
「ごめんね、忙しいのに」
暫くしてやっと気持ちを落ち着けた私がそう言うと「僕も会いたかったから」と今度は先程より力強く抱き締めてくれる。
「今度は、僕が充電させてもらってもいい？」
彼のその言葉に顔を上げると返事をしようとする唇を塞がれる。隙間から舌が入り込み私の舌と絡み合う。
「んっ……暁……」
唇が離れて名前を呼ぶと「A」と名前を呼び返される。
「会いたくなったらいつでも呼んで。いつでも会いに来るから。」
「そんなことしたら暁、遠征中でも来るでしょ」
ふふ、と小さく笑ってそう言うと「当たり前でしょ？」と言わんばかりにきょとんとして私を見る。こういうところは本当に可愛らしい。
「有難う、暁のお陰で元気出た」
明日も試合があっていつまでも彼を引き留めておくわけにもいかず、時間が経ったところでそう笑顔で言うも、彼はなかなか帰ろうとはしない。
「僕はまだ、足りない」
結局その日は朝まで二人一緒に過ごして、思う存分充電することが出来た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美憂春(プロフ) - いえ！これからも楽しみにしてますね！ヽ(*´∀｀)ノ (2017年1月22日 23時) (
レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます！最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました！また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー！！ヽ(*´∀｀)ノ 私、全部好きです！！(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます！亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー！！ｷｬ───(*ﾉдﾉ)───ｧ笑 にやにやしちゃいました！笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：げび | 作成日時：2016年10月4日 0時
