倉持洋一 × 嫉妬 ページ6
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「おわっ、ビックリした…どうしたんだよ、電気もつけねーで」
「話があるの」
「んだよ、話って…」
自主練を終え、自室に戻ってきた洋一をそう言って出迎えると洋一は眉間にシワを寄せながら私と向かい合って座る。
「つーか沢村は?」
「外して貰った。大事な話だから」
そう言うと洋一がゴクリと唾を飲み込む。察しの良い洋一のことだ、きっと別れ話かなんかだと思っているのだろうから、まずそれは否定する。
「洋一にね、聞きたいことがあるの。」
「あ?聞きたいこと?」
「うん、これ…何?」
別れ話じゃないと分かった洋一は少し安心したように見えたけれど私が差し出した物を見て、あからさまに「げっ」といった表情をした。
「さ、沢村のじゃねーの?」
「沢村に確認したら洋一のだって言ってた。」
明らかに動揺する洋一に差し出したのは所謂大人の雑誌。洋一を待ってる間、部屋を片付けていたら出てきたのだ。
「別にね、男の子なんだし持ってることを怒ってるんじゃないの」
すっとその雑誌に書いてある文字を指差す。デカデカとした派手な字で"巨乳"と書かれた部分。
「洋一はさ、やっぱり大きい方がいいんだね…」
文字に目を落としたままそう呟くと暫くの沈黙の後、ヒャハハハと独特の笑い声が部屋に響いて顔を上げる。
「何がおかしいの?」
「ヒャハハ、悪い悪い。てめーが可愛いこと言うからよ」
そう言ってくしゃっと頭を撫でてくる。「笑い事じゃないんだけど」と睨んでみるも効果は無いようで未だ楽しそうに笑っている。
「もういい」と大きく溜め息を吐いて立ち上がろうとするとガシッと肩を掴まれて急に真剣な眼差しを向けてくるものだから思わず息を飲む。
「A、1回しか言わねーから良く聞けよ?
確かに、無いよりかはあった方が良いと思う。男のロマンだし。
でも俺は胸があろうが無かろうがAのことが好きなんだよ」
ニッと笑って「だから気にすんな。これも捨てるし」と付け足されて何も言い返せず「ずるい…」とだけ呟く。
気付けば肩に置かれていた手が背中に回され、ぎゅっと抱き寄せられる。
「不安にさせてごめんな」
「ううん、私こそごめん」
そう笑いあってゆっくりと顔を寄せた瞬間、扉が開かれ「A先輩!どーでしたか!」と沢村が元気良く入ってきた。「さ〜わ〜む〜ら〜!!」と洋一が沢村にヘッドロックを決め込む姿を笑って見守った。
「いや、助けてくだせーよ!!」
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美憂春(プロフ) - いえ!これからも楽しみにしてますね!ヽ(*´∀`)ノ (2017年1月22日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました!また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー!!ヽ(*´∀`)ノ 私、全部好きです!!(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます!亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー!!キャ───(*ノдノ)───ァ笑 にやにやしちゃいました!笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:げび | 作成日時:2016年10月4日 0時