倉持洋一 × 雪合戦 ページ46
-
東京では珍しく大雪が降った。
予定されていた練習も、室内で午前中だけに変更されて、午後は自主練。
お昼を過ぎても降り止まない雪と、グラウンド一面の雪を見て、私たちは雪で遊ぶことにした。
「まずは雪合戦だよね」と始めると、「くらえ、俺の魔球!」と沢村が御幸を狙ったことで自然と2年vs1年になった。
滅多にない雪にはしゃいでいるとふと名前を呼ばれて振り向く。その瞬間バシャッと音を立てて目の前に散らばる雪。
直ぐに雪玉を当てられたのだと理解して顔についた雪を払うとヒャハハと愉しそうに笑う洋一の姿が。
「ちょっと洋一!」
「ヒャハハ、油断してっから」
「この〜!!」
作り貯めしていた雪玉を拾って洋一を追い掛ける。
もう学年とか関係なく、雪玉が飛び交うようになっていた。
相変わらず独特の笑い声を響かせながら逃げる洋一は器用に途中で雪を拾っては投げ付けてくる。
雪の上の癖に走るの早いなあと必死に追いかけていると、雪に足をとられてそのまま前のめりに突っ伏してしまった。
雪のおかげで痛みは無い。けれど、転けたことに気付いた洋一が「大丈夫か?」と駆け寄ってきてくれて、なかなか起き上がらない私の元で屈む。
そんな洋一に、にやっと笑顔を浮かべて雪を掛ける。
「ふふ、隙ありー!」
「なっ、お前!!」
今度はそのまま雪の掛け合いになった。
「あー!疲れた!」
「ほんと負けず嫌いだな」
「洋一に言われたくない」
ある程度雪を掛け合った所で、はしゃぎ疲れて今度は仰向けに寝転ぶ。暖まった体に雪の冷たさが心地よい。
寝転ぶ私の横に腰を掛けた洋一に「洋一も寝転んでみたら?雪、気持ちいいよー」と目を閉じて言うと返事の変わりに閉じた唇に洋一の唇が触れた。
「ちょ、洋一!!こんな所で…誰かに見られたら」
「ヒャハ、みんな雪に夢中で見てねーよ」
カバっと起き上がって辺りを見渡すと、確かにみんな雪合戦やら雪だるま作りやらに夢中なようで。
「それもそっか」
「おう、だからもう一回…な?」
ゆっくりと、引き寄せられるようにして唇を重ねる。
唇の温もりと、それに反して頬に触れる洋一の冷えた手。
その心地よさに身を委ねているとバシャッと音を立てて後頭部に雪玉がぶつかる。
「なーにやってんのかな、お二人さん」
「破廉恥ですよ破廉恥!!」
笑顔を浮かべた御幸と、ふんと鼻息を荒くした沢村。そんな二人を相手にした雪合戦がまた始まった。
211人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美憂春(プロフ) - いえ!これからも楽しみにしてますね!ヽ(*´∀`)ノ (2017年1月22日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました!また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー!!ヽ(*´∀`)ノ 私、全部好きです!!(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます!亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー!!キャ───(*ノдノ)───ァ笑 にやにやしちゃいました!笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:げび | 作成日時:2016年10月4日 0時