倉持洋一 × 吸血鬼 ページ28
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「ハッピーハロウィーン!!」
私のこの掛け声でカチャンとグラスを合わせる。今日は彼氏である洋一とハロウィンパーティ。
お互いちゃんと仮装もした。私は魔女、で洋一はヴァンパイア。仮装もちゃんと二人でドン・●ホーテに行って、二人で選んだ。
「へへ、どうかな?似合ってる?」
「あー、いいんじゃね」
すっと立ち上がってくるりと一周回って聞くとぶっきらぼうに返事をくれる洋一。
オフショルになっていてデコルテがかなり開いているのと、スカートも短めで少し恥ずかしい気持ちもあるけれど、洋一も気に入ってくれてるようだし良かった。
「洋一もなかなか似合ってるね、バンパイア」
「ヒャハ、ほぼスーツだけどな」
洋一のヴァンパイアはスーツにマント、それから牙のついたつけ歯もあったけれど邪魔だからという理由で着けてはくれなかった。
「ねぇ、見てー。これ先週大学のサークルでやった仮装」
「おー、ってこれちょっと短くね?」
「そう?でもお揃いだったし……」
私のスマホの液晶に浮かんだ写真を二人で見ながら話す。私も含めて女子も男子も血糊をつけたりボロボロにした婦人警察官の格好で揃えた。
そんな私の話を聞きながら顎に手を当てて何かを考えている様子の洋一。
どうしたんだろうかと顔を覗き込んで小首を傾げるとバチッと目があった。
「A、俺の今の格好って…」
「吸血鬼、だけど…それがどうかした?」
唐突な質問に不思議に思いながらもそう答えるとぎゅっと洋一に抱き寄せられて首筋に温もりを感じる。
「んっ……」
そのまま洋一が歯を立ててチクリと痛みを感じ、思わず口から吐息が零れる。
顔を上げた洋一がペロリと舌舐めずりしながら「ごちそーさん」と笑う。
「なっ……」と噛まれた首筋に手を当てて動揺していると「他の男にこんな格好見せんじゃねーよ」とボソッと呟いてるのが聞こえる。
「……ははーん、嫉妬ですか」
「ばっ、ちげーよ!」
嫉妬と分かってニヤニヤと笑って言うと頬を赤く染めて否定する洋一。そんな彼にぎゅっと抱き着いてさっき洋一にされたのと同じように首筋に歯を立てる。
「知ってる?吸血鬼に噛まれた人も吸血鬼になるんだって」
そう笑って言うと視界が反転して目の前に真剣な顔をした洋一。
「私が吸血鬼になっても好きでいてくれる?」
「…ったりめーだろ」
私が伸ばした腕を洋一の首に絡めるのを合図にして、私たちは深い愛に堕ちていった。
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美憂春(プロフ) - いえ!これからも楽しみにしてますね!ヽ(*´∀`)ノ (2017年1月22日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました!また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー!!ヽ(*´∀`)ノ 私、全部好きです!!(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます!亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー!!キャ───(*ノдノ)───ァ笑 にやにやしちゃいました!笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:げび | 作成日時:2016年10月4日 0時