倉持洋一 × ドライヤー ページ23
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「あー、さっぱりした!」
お風呂から上がってボスッとソファに体を沈めて、渇いた喉を潤す。そのままボーッとテレビを見ているとすっと首に掛けたタオルが取られて振り向く。
「髪、乾かさねーと風邪引くぞ?」
そう言った洋一は私の頭にタオルを被せるとそのままわしゃわしゃと少し乱暴に拭き始める。
「だってめんどくさいんだもん。その内乾くし。」
「ヒャハハ、女子の発言じゃねーな」
私の髪は顎のラインくらいで、長くは無い。髪には悪いことは知っているけれど、いつも寝るまでには乾くのでそのままほったらかしにすることが多いのだ。
「しゃーねーな。ちょっと待ってろ」
そう言った洋一が戻ってきた時には手にドライヤーを持っていて。
「え、乾かしてくれんの?ラッキー」
「言っとくけど、貸しだからな」
カチッとスイッチを入れる音がしたかと思うとブオォォッと勢い良く温風が出て来て私の髪を揺らす。
「熱くねーか?」
「うん、大丈夫。気持ちいい」
ドライヤーの音に掻き消されない様にいつもより声のボリュームを上げて会話をする。
時折手櫛で髪を流しながら、丁寧に髪を乾かしてくれる洋一の手付きが気持ちよくて目を閉じた。
言葉遣いとか少し乱暴な所があるけれど、いつだって私に触れる手は優しくて。洋一のそういうところが私は
「好きだよ」
そう呟いた声は洋一には届かなかったようで「何か言ったか?」と首を傾げられた。
「これでよし、と。ちゃんと毎日乾かせよ」
「洋一が毎日乾かしてくれたらいーじゃん」
クルクルとドライヤーのコンセントケーブルを本体に巻き付けている洋一にそう返事をすると。「めんどくせーからやだ」と断られた。
「それじゃ、俺も風呂行ってくるわ」
「うん、いってらっしゃい。ありがとね」
「どういたしまして」
そう言って風呂場へと向かう彼の背中を見送っていると「あ」と小さく声を漏らした彼が振り向く。
「A、俺もお前のこと好きだぜ」
そのまま私の元へと戻ってきた洋一がそう言って唇を重ねてくる。
「……さっきの、聞こえてたの?」
「ヒャハハ、さぁどうだろうな」
普段恥ずかしさからあまり口に出せずにいる「好き」と言う二文字を聞かれていたからか。それとも彼に「好き」と言われて急にキスをされたからか。
理由は分からないけれど真っ赤になっているであろう私の顔を見てヒャハハと独特の笑い声を響かせた洋一の肩をグーで殴ってやった。
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美憂春(プロフ) - いえ!これからも楽しみにしてますね!ヽ(*´∀`)ノ (2017年1月22日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました!また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー!!ヽ(*´∀`)ノ 私、全部好きです!!(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます!亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー!!キャ───(*ノдノ)───ァ笑 にやにやしちゃいました!笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:げび | 作成日時:2016年10月4日 0時