沢村栄純 × 全球ストレート ページ21
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ある日の昼休み。何故か3年生のフロアの廊下の真ん中に堂々と立ち尽くす沢村が。
「変なヤツ」と思いながら廊下の隅を通って通り過ぎようとした時、「A先輩!!!」と元気よく呼び止められて、私に用が会って来ていたことを知る。
「…沢村うるさい。それからそこ邪魔だから」
はあ、と大きく溜め息を吐いて彼の利き腕じゃない方の腕を引く。それから壁に凭れてから「何の用?」と聞くとずいっと顔を近付けてくる沢村。
「あの、A先輩」
「だから、何?てか近いんだけど…」
近すぎる距離に耐えきれず顔を背ける。それでも真っ直ぐ見つめてくる沢村は一度離れてスーハーと大きく深呼吸をするとぐいっと私の顔を両手で挟み込む。
そのまま無理矢理沢村の方に顔を向けられて、何事かとパチクリと瞬きを繰り返していると大きな声で沢村が言う。
「俺が先輩のこと、好きだって言ったら困りますか!?」
「…はぁ!?」
熱の籠った眼で真っ直ぐ私を捉えて言う。「いや、もうそれ好きって言ってるじゃん」と冷静なツッコミを頭の中でしながらも今の状況についていけない。というか周りの視線が痛い。
「ちょ、沢村、落ち着こう」
「これが落ち着いていられますか!」
私の頬を包み込む手を掴むと、手を下ろす。両手を握りしめたまま沢村の話の続きを聞く。
「初めて会った時はこの気持ちに気付かなかったんです。
でも気付けば先輩のことを目で追ってるし、先輩のことばっかり考えてる。
金丸に相談したら『好きなんじゃねーの』って言われて。
それで漸く自分の気持ちに気付いたんです!
先輩の笑顔も、ちょっと冷たい時もあるけど優しい性格も、仕事熱心なところも、それから…」
「わかった!わかったから!」
次から次へと口から出る自分を褒める言葉に顔が熱を帯びる。手の甲で口元を隠しながら何度も「もう、ほんとわかったから」と言うのが精一杯だった。
「いーえ!先輩はまだ分かってません!俺がどれだけA先輩のことが好きなのか…」
「沢村あんた本当にうるさい」
それでも構わず言葉を発しようとする沢村の口を無理矢理自分の口で塞いでやる。
「なっ…い、今のは!!」
顔を真っ赤にさせてワナワナと慌てふためく沢村。
「…沢村の気持ち、ちゃんと受け取ったから」
ボソリとそう呟くと「それはどういう意味でしょう!」と騒ぐ沢村に「私も好きだってこと。わざわざ言わせないでよ」と伝えた。
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美憂春(プロフ) - いえ!これからも楽しみにしてますね!ヽ(*´∀`)ノ (2017年1月22日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました!また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー!!ヽ(*´∀`)ノ 私、全部好きです!!(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます!亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー!!キャ───(*ノдノ)───ァ笑 にやにやしちゃいました!笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:げび | 作成日時:2016年10月4日 0時