轟雷市 × 手料理 ページ3
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「こうきたら……こうっ!!」
ブンッと大きな音を立てて彼の振る重たいバットが空を切る。いつから此処でバットを振っているのか、彼の足元には汗だと思われる水跡が無数に広がっている。
「そんでこうきたら……ってうわぁっ!?A先輩!?いつからそこに……」
漸く私の存在に気付いた1つ年下の彼、轟雷市は顔を真っ赤にして遠慮がちに此方を見る。
「ついさっき!相変わらず熱心だねー。でも、明日も早いんだからそろそろ終わりにしたら?」
「も、もう少しだけ……」
「残念だなー、折角ご飯用意したのに」
「ごはん!!!」
目を輝かせる彼を引き連れて食堂に移動すると、用意していた料理をテーブルの上に並べる。
「う、うまそう……!」
「ふふ、本当はもっとガッツリ食べたいだろうけど、和食が一番栄養いいから。
これ食べて明日の青道戦、頑張ろうね」
「いただきますっ!!」
バチンと勢い良く両手を合わせてそう挨拶をすると次々と料理に箸をつけていく。
本当にいつ見ても美味しそうに食べるなぁ、と感心して見ていると味噌汁をずず、と啜った彼の目から急に涙が流れているのが目に入りぎょっとする。
「ごめん、味濃かった?」
焦ってそう聞くと黙ったままふるふると首を横に振る。
「すっげぇ……美味いです。か、身体中に染み渡るというか…この辺が、なんか…ぽかぽかする」
段々と声を小さくしながらも自分の胸の辺りを擦りながらそう言ってくれて「雷市くん……可愛い!!」と思わず抱き着いてしまう。
「せ、先輩……」
「雷市くん……好き。」
「お、俺も……」
「雷市くん、キスしていい?」
彼は驚いて目を見張るとコクンと頷いて「お、俺から…」と言ってくれたので目を瞑るとちゅ、と小さくリップ音を立てて唇が重なる。
「……冷めちゃうから食べちゃって?」
唇が離れてからそう言うとまた料理に箸をつけていく彼。
「俺、毎日先輩のご飯、食べたい…」
「喜んで……ってもしかしてそれってプロポーズ?」
ふふ、と笑ってそう言うと「ちちちちが……いや、違くな…えっと、その…」とぐるぐると目を泳がせながら言う雷市くん。
「あ、ご飯粒ついてる」
手を伸ばして口元についたご飯粒をとってあげるとカハハ…と小さく笑いを零してから、用意していた料理すべてを残さずに綺麗に食べきってくれた。
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美憂春(プロフ) - いえ!これからも楽しみにしてますね!ヽ(*´∀`)ノ (2017年1月22日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました!また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー!!ヽ(*´∀`)ノ 私、全部好きです!!(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます!亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー!!キャ───(*ノдノ)───ァ笑 にやにやしちゃいました!笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:げび | 作成日時:2016年10月4日 0時