成宮鳴 × 観覧車 ページ18
-
半日オフの日。練習を終えてからアイスを食べたいという王子様と一緒に街のショッピングモールへと訪れた。
お目当てのアイスが食べれて満足気な彼と一緒にショッピングモール内をゆっくりと歩いていると1枚のポスターが目に入って立ち止まる。
「Aー!置いてくよー」
「…鳴、これ乗ろう!!」
そのポスターはこのショッピングモールに新しく出来た観覧車の告知ポスター。カップル向けにハート型のゴンドラになっていて、雑誌なんかでも良く取り上げられている。
「えー」と少し渋る彼を無理矢理連れて、少し並んで観覧車に乗り込む。
「見て見て!いい景色!…ってA?顔色悪いけど」
いざ乗ると楽しそうに窓に張り付くようにして景色を楽しむ鳴。それに対して私は景色を楽しむ余裕なんて無い…というのも実は高いところは苦手なのだ。
「はぁ!?高いところ苦手なのに乗ったの!?バカじゃん!!」
素直にその事を告げると案の定呆れられてしまう。
「だって、乗りたかったんだもん」
この観覧車には1つ、噂がある。それはカップルで乗るとそのカップルは永遠に結ばれる…というもの。事情を説明して「ごめん」と小さく謝ると大きく溜め息を吐いた鳴が突然立ち上がり、私の横にドカッと座る。
「…これで少しはマシ?」
突然動くものだからゴンドラが揺れてビックリして「うわっ」と声を上げるとぎゅっと私の手を上から握ってくれる。
「…うん、ありがとう」
「どういたしまして!……ねぇA、俺のこと見て」
少しマシになったとは言え、到底景色を見る余裕は無くて下を向いたままお礼を伝えると、鳴にそう言われてなんとか顔を上げる。
「怖いとか、考える余裕無くしてあげよっか?」
ニッと笑みを浮かべた鳴は繋いでいない方の手を私の頬にそっと添えて唇を寄せる。
「ん…、ちょ、鳴…っ」
何度も角度を変えて唇を重ねる。二人きりの狭い空間にリップ音と二人の息遣いだけが耳に届いて全身を熱くさせる。
漸く唇が離れてペロリと唇を舐める鳴が熱を帯びた視線で見つめてくる。伸ばされた大きな手が太股を這った時、ドアが開いて「お疲れ様です」と係りの人の声が掛かって離れる。
「ちぇー、良いとこだったのに」
手を頭の後ろに当てて唇を尖らせる鳴に続いてゴンドラから降りると顔だけを此方に向けて鳴が言う。
「どうする?もう一周する?」
黙って首を横に振るとシシシと笑う鳴。
「じゃ、続きは帰ってからね」
211人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美憂春(プロフ) - いえ!これからも楽しみにしてますね!ヽ(*´∀`)ノ (2017年1月22日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました!また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー!!ヽ(*´∀`)ノ 私、全部好きです!!(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます!亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー!!キャ───(*ノдノ)───ァ笑 にやにやしちゃいました!笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:げび | 作成日時:2016年10月4日 0時