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原田雅功 × 卒業式 ページ17

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3月7日。今日は先輩達の卒業式。


「式の後、話があるんだが…待っててくれねぇか?」


そう前日に言われたから、誰もいないグラウンドで一人、彼が来るのを待つ。


「すまねぇ、待たせて」


漸く姿を現した彼に「人気者ですから、仕方ないですよ」とニッコリと笑って見せるけれど内心は穏やかでは無い。


彼、原田雅功は元野球部の守備の要で、4番で、キャプテン。そんな彼は春からプロ野球選手になることが決まっている。しかも拾われたのは北海道の球団。


自然と離れ離れになるこのタイミングで「話がある」なんて言われれば誰でも頭に過るのは別れ話だろう。


それでも新たな旅立ちの門出を私のワガママなんかで邪魔したくない。必死に唇を噛んで溢れそうな涙を堪える。


「A、あのな…」


「雅さん、ご卒業おめでとうございます。

一緒に過ごせた2年間、あっという間でした。毎日、楽しかったです!

卒業してもお元気で……今まで本当に有難う御座いました。」


雅さんが話し出す前に、早口で言い切る。ちゃんと言えた。そう思いながら頭を下げると堪えていた涙がぽとりと落ちた。


A、と優しい声で名前を呼ばれて慌てて手の甲で涙を拭って顔を上げると大きな体が私を包み込む。


「そんな寂しいこと言わないでくれ」


「だって……私、雅さんの荷物にはなりたくないです」


「荷物なんかじゃねぇ。A、俺はお前と別れたく無くて、話をしにきたんだ」


ぐっと背中に回された手に力が籠る。


「卒業したら、今までみてぇに簡単に会えなくなるのは確かだ。

俺は寮に入るし、遠征だってある。

それでも…たとえ会えなくても、俺にはもうお前が隣に居ないってのが考えられねぇ」


「雅さん……」


「辛い思いも沢山させるかもしれねぇ、それでも良かったら待ってて欲しい。

プロで稼げるようになったら必ずAのこと迎えに行く」


「……それってプロポーズ?」


溢れ出る涙を抑えることが出来ない。雅さんから少し離れて涙で濡れた顔を上げて聞けば「どうだろうな」と笑って言ってくれる。


「私、雅さんのこと、待ってていいの?」


「あぁ、当たり前だろ」


雅さんが袖口で私の涙を拭ってくれる。「雅さん、大好き」と溢れる気持ちを言葉にすれば、優しい雅さんの顔がゆっくりと近付いてきて目を閉じた。

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美憂春(プロフ) - いえ!これからも楽しみにしてますね!ヽ(*´∀`)ノ (2017年1月22日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでいただき、更には全部好きとまで言っていただき本当に嬉しいです。美憂春さんのコメントにいつも支えられてました。本当にありがとうございました!また別の作品も宜しくお願いします。 (2017年1月22日 23時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 御幸、狙い打ちだー!!ヽ(*´∀`)ノ 私、全部好きです!!(o´艸`) (2017年1月22日 21時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)
げび(プロフ) - 美憂春さん» またまたコメントありがとうございます!亮さんはどんな話にも対応できるのでいつも助かってます(笑)私も自分で書きながらニヤニヤしちゃいました (2017年1月17日 9時) (レス) id: f7438c8014 (このIDを非表示/違反報告)
美憂春(プロフ) - 亮さん、おっとなー!!キャ───(*ノдノ)───ァ笑 にやにやしちゃいました!笑 (2017年1月16日 23時) (レス) id: 03ce076a00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:げび | 作成日時:2016年10月4日 0時

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