【薄桜鬼】〜美男剣士は、実は女？〜肆

百六十三話　もしもの時は… ページ14

──とくとく…


山南「そういえば…また
　早乙女くんとケンカしたらしいですね」


酒を口に運びなから山南がおもむろに呟く。

人との交流を狭めても
彼らの騒動はよく耳に入る。


総司「ええ、Aくんの反応が面白くて
　ついやり過ぎちゃうんですよねぇ」


弾むその声音からは
反省の色など微塵も感じられない。

これにはさすがの山南も
穏やかな笑みを浮かべたまま眉を下げた。


山南「まったく……困ったものですね。
　永倉くんとはサシで飲みに行ったり
　斎藤くんとは意見が対立しても
　互いに歩み寄って理解を深めたり…
　皆が彼と仲を深めているというのに」


総司が深めているのは
Aとの溝ばかりである。


総司「これは僕の今一番の楽しみなので。
　……そもそも、仲を深めてもこれを
　知られるわけにはいかないでしょうに」


そう投げやりに視線を向ける先には
赤い液体が妖しく光っている。


山南「たしかに……心苦しいですが
　これは幕命ですからね」


それには山南も苦笑しながら同意する。


…──────優先すべきは新選組。


けれども、A達の存在が
当たり前のように感じる今となっては
己の行動と感情の狭間に時折違和感を覚える。


総司「……なかなかに
　あの子達との距離を測りかねてますよね。
　僕も…そして、山南さんも」


山南「そうですね…沖田くん。
　もしもの時はよろしくお願いします」


総司「はい……必ず」


願わくば───…


最悪の事態が起きたときに
何も知らずに当惑する彼女らを
この手で傷つけてしまわぬように──…

己が己のままでいられるように──…


…────この手であの子に触れられるように。


山南は左手を見つめて自嘲気味に笑った。


今宵は…いくら酒をあおっても
どうにも酔えそうにない。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

妙に互いのことを分かってます感のある
総司くんと山南さんの
腹黒ドSコンビが好きです(´ω｀*)
そこに夢主様を挟んで困らせたい…！

百六十四話　忍び寄る恐怖…→←百六十二話　思い揺らぐ秋…

ラッキースケベ

斎藤一　風呂上がりの無防備な恰好で出くわすと説教＆襟巻でぐるぐる巻きにされる！なにゆえ？！

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