百六十四話 忍び寄る恐怖… ページ15
―――――……
―――…
秋も深まって紅葉が色づく中、
Aの部屋に忍び寄る影があった。
──ガラッ…
総司「Aくん、ちょっと良いかい」
A「……何の用だ」
襖を開けて現れた総司を
冷たくあしらってしまうのは
彼の日頃の行いのせいなので致し方ない。
総司「相変わらずつれないなぁ…
ちびっこ仲間の平助がいなくて
寂しくしてるAくんに
せっかく良いものを持ってきたのに…」
A「良いもの…?」
そう言う彼の手には
菓子折りくらいの大きさの木箱があった。
常人ならば菓子の差し入れと思うが、
相手が総司ゆえに嫌な予感しかしない。
総司「なんでも……
山崎くんから貰った武器で二人仲良く
蟻の巣を掘って遊んでいたんだって?」
A「な…なぜここでその話が……?」
かたかた…と揺れた気のする箱と
総司の黒く染まった笑みに堪らず声が震える。
彼女の女の勘が逃げろと
けたたましく警鐘を鳴らしているのだ。
総司「……蟻が好きなら
もちろんこれだって嬉しいよね…?」
A「ひぃ…っ!」
ゆっくりと総司がその蓋を開けて
中身があらわになると
途端にAの血の気が引く。
──タタ…ッ!
慌ててその脇をすり抜け一心不乱に走った。
総司「あ、追いかけっこ?
もう……しょうがないなぁ…」
その後を総司は無慈悲にも追いかけた。
ここ数日で一番の
至福に満ち足りた満面の笑みである。
* * *
────ダダダダダッ!!
土方「あ?屯所の廊下を
全力疾走してんのはどこのどいつだ?」
後方へ迫り来る激しい足音に
廊下を歩いていた土方の足が止まった。
A「ふ…副長っ!」
現れたのはもちろん
総司から逃走中のAである。
彼女は行く先に土方の姿を捉えて
少しだけ安堵し表情を緩めた。
土方「A…?何慌ててやがんだ?」
A「副長っ!助けてください…!!」
──ぎゅ…っ
土方「な……?!」
廊下を駆けた勢いのまま
Aはまるで奇襲のように抱きついた。
突然の彼女からの抱擁(突進)を
正面から受けて一瞬後ろによろけるも
土方はすぐに体勢を立て直す。
しかし、その心の蔵は
状況理解が及ばず忙しなく轟いている。
A「お、沖田が…虫で……馬鹿ですっ!!」
ぴったりと土方に抱きついたまま
顔を上げて必死に訴えかけるが、
焦っていて要領を得ない。
**********
続く
ラッキースケベ
斎藤一 風呂上がりの無防備な恰好で出くわすと説教&襟巻でぐるぐる巻きにされる!なにゆえ?!
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亜紀野ユキ(プロフ) - リアさん» ありがとうございます(*´ω`*)執筆意欲が俄然湧きました!! (2022年2月13日 16時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
リア - 個人的に男装でバレずに焦れる話が好きです。作者様が本当に書きたいものを読めればな〜と思っております。強いて言えばシリアスが好物です笑。この作品で何だか伊東さんが憎めずになってしまい、好きになってきましたwこれからも更新楽しみにしております♪ (2022年2月13日 13時) (レス) @page50 id: 99ed9645a2 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - ひなみさん» 貴重なご意見恐縮です!!悩ましいですが…ご容赦を(>_<)いずれ男装即バレのR.18アナザーストーリーをupするのでお許しを!! (2022年1月25日 19時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ひなみ(プロフ) - はじめまして!薄桜鬼も愛されも好きすぎるのでこの作品も大好きなのですが、BLは苦手なので早く女バレさせてほしいです…。読み手は女の子だと分かっていても登場人物は男だと思っているわけだから…どうしてもBLに見えてしまって…。でもお話は大好きです! (2022年1月25日 19時) (レス) @page48 id: 81d9d42d97 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 律さん» どうもデス!!(*^ω^) (2021年12月27日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年9月18日 21時