三十六話 顔に出てるよ… ページ37
―――――……
―――…
“いかにも私のためを思ってに聞こえますが、
結局……貴女は、自分の居場所を
作りたいだけなんじゃありませんか?”
Aが洗い物をする代わりに
千鶴が山南のもとまで膳を運びに行く。
その時、彼にそう言われて
彼女はそれを上手く否定できなかった。
もしかしたら──…
Aのように自分は
ここで役目がなくて、それに焦って
こんなことを言い出したのかもしれない。
そう考えると、自分は
なんて汚い人間なんだ…と彼女は自らを責めた。
平助「千鶴、元気出せって!
昼はまた俺が持っていくよ」
新八「そうだ!元気出せ」
朝餉(あさげ)のときに
広間で浮かない顔をする彼女に
幹部達は優しい言葉を投げかけた。
千鶴「ありがとうございます……」
しかし今の彼女には、
簡単な笑顔を繕うことすらできない。
そして、必然的に食も進まなかった。
千鶴 (結局、私の自己満足だったのかな…
そんなことに山南さんを
利用するなんて……最低だよね…)
A「…──違うよ」
千鶴「え?」
自分一人で考え込む中、
思わぬところから否定の言葉がかけられて
千鶴はばっと左隣のAを見た。
どうして自分の考えていることが
分かったのか、と言うかのように。
A「どうせ…山南総長にしたことを
本当は自分のためだったのかな…
って考えてたろ?全部顔に出てるよ」
その言葉に千鶴は
口をあんぐりと開けてただただ驚いた。
A「心配しなくとも、そんなことを
考える奴にあんな温かい味の料理は作れない。
…────俺が保障するから」
千鶴「Aさん…!でも、山南さんは……」
たとえAが言うとおり、
千鶴が純粋に山南のことを思っていたとしても
肝心の本人に伝わらなければ意味がない。
彼女はそう言いたかった。
**********
続く
ラッキー人物
藤堂平助 祭りに行ったら、手をつないで一緒に楽しんじゃお☆
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亜紀野ユキ(プロフ) - 彩豊さん» ありがとうございます(*´ー`*) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
彩豊(プロフ) - こんにちは!凄くおもしろかったです!これからどんな展開になるか気になります_:(´ཀ`」 ∠):更新頑張ってください!応援してます☆彡 (2022年10月21日 19時) (レス) @page50 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綵河さん» 薫くん良いですよね~♪僕も薫くんの生意気そうで寂しがり屋なところが愛らしいと思っています!!!!この小説でも早く登場させたいと思ってます!!!!!! (2016年8月10日 16時) (レス) id: f4bec4ec63 (このIDを非表示/違反報告)
綵河 - もっとたくさん薄桜鬼シリーズを書いてくれると読む気がわいてきます!ちなみに私は【南雲薫】の占いツクールを書いてくれると嬉しいです♪♪ (2014年3月31日 9時) (レス) id: 6ae65de84b (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 玲名さん» お世辞でも嬉しいです!!僕はとにかく小説を書くとき、いつも読者様たちの立場になったつもりで「どう書けば伝わるか」を考えながら書いています♪とはいっても、僕より素晴らしい作者様たちはたくさんいますが… (2013年12月16日 21時) (レス) id: 806d6ba1fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2013年2月3日 22時