四十二話 きっかけに過ぎない ページ44
「なるほど……」
いずれ育手を紹介してもらい
鬼殺隊の剣士として生きたいという
少年の願望を槇寿郎は聞いた。
その報告を受けて
瑠火はうつむきながらしばし考え込む。
「Aさんが願った通りに…
その男の子は救われたのでしょうか?」
「それは……今は何とも言えない。
だが、彼が未来に希望があるのを信じて
生きてくれることを願いたい」
「そうですね。…あとは彼自身の選択です」
Aがどれほど優しい未来を願おうとも
真にそれを実現できるのは
それぞれの心持ちと努力にかかっている。
もちろんそれは瑠火にも当てはまる。
(どうか……これから先が子供たちにとって
優しい未来でありますように……)
Aから送られた利梵をその存在を
確かめるよう胸の前できゅ…っと強く握った。
すると──…
「それは……?」
「Aさんから頂いたお揃いの利梵です。
肌身離さずつけるらしいので
あの子と会うときの目印となるでしょうね」
「本当に……不思議な少女だな」
達観してるのかと思えば、
手紙の内容や贈り物の選び方の端々に
年相応の幼さが垣間見えた。
あと、どれほど献身的で一途なのかも。
直接顔を合わせたことはないが、
この数年で槇寿郎も
Aの心根を深く知った気がする。
「ええ、手紙の内容も可愛らしくて
毎度楽しみにしています」
“近頃、暑い陽気が続いています。
皆様もお身体に気をつけて
健やかにお過ごしください”
“秋めく葉の赤や黄の色合いを見ていると
煉獄家の皆様を思い出します。
さつまいもの豊作を切に祈ります”
“今は海沿いを歩いています。
陽光を照り返す砂浜はとても綺麗なのに
夜にしか来れないのが残念です”
“今日は芋を使った洋菓子を見つけました。
お口に合えば幸いです。
いつかは私も食べたいです”
過去に送られてきた手紙は
大切に保管され定期的に読み返している。
どれも短い近況報告ではあるが、
Aの温かい人柄がにじみ出ていた。
「もし……その少女を見かけたら
必ず家に招待しよう」
「それは楽しみです。
ですが、AさんにはAさんの
事情があるでしょうから
本人の意思を尊重してくださいね」
「ああ、もちろんだ」
本日も、煉獄家では
日だまりのような穏やかなときが過ぎてゆく。
**********
続く
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亜紀野ユキ(プロフ) - 茨の谷の第2王子(ヲタク)←王子がそれでいいのかさん» そちらもご閲覧ありがとうございます(*^ω^) (2022年10月26日 14時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第2王子(ヲタク)←王子がそれでいいのか - リボーンの作品書いてたの作者様だったのですね!あの作品とても面白くて好きです! (2022年9月28日 22時) (レス) id: 304b99e4d1 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - Zxcvbnm9090さん» (*´∀`*)ポッ…ありがとうございます!!頑張りますb (2021年11月20日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
Zxcvbnm9090(プロフ) - 鬼設定がまず面白い上に主人公のキャラが好きです!!推しのために貢ぐ笑最高でした!これからも楽しみにしてます!! (2021年11月20日 9時) (レス) @page47 id: 2e6009ddad (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます(*´ω`*)テレッ (2021年11月13日 7時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2021年9月10日 17時