二十五話 もしもの未来 ページ27
―――――……
―――…
「まさか……こんな奇跡が起ころうとは…」
「奇跡ではありません。
Aさんの治療のおかげですよ」
身を起こせるようになったので
清々しい青空の下、庭で洗濯物を干す瑠火を
少し心配そうに槇寿郎が見守る。
「ああ…その通りだ！その少女には
いくら感謝しても足りない」
柱合会議での話し合いもあって
元々その少女に悪印象はなかったが、
妻を治療してもらったことで
槇寿郎はよりAへの好感が上がった。
もし、鬼殺隊が方針を変更して
彼女を斬れと言われても
全力でそれに抗う覚悟も出来ている。
「そういえば……お渡しした手紙には
何と書かれていらしたのですか？」
“今後、蛇型の鬼に従う女系一族と遭遇した際
生き残りの女児と男児を会わせないで欲しい。
その一族は道徳心に欠けて冷酷無比。
理不尽な心無い言葉で男児の心に傷を作る”
「…──と、書いてあった」
「預言…ですか」
「おそらくそうだろう。…瑠火。
預言の意味はわからずとも
俺はその少女を信じようと思う」
「ええ…それがいいでしょう」
Aが治療した、あの晩──…
───瑠火は不思議な夢を見た。
そこは、自分の存在しない未来で
夫の槇寿郎は気力をなくし酒に溺れ、
杏寿郎はその中でも懸命に努力し柱となり、
千寿郎は剣の才はなくとも
家を…兄の帰る場所を守っていた。
しかし、これまでになく強い鬼から
人々を守り杏寿郎が……
(あれはおそらく…
あの子が変えようとしている未来)
瑠火は洗濯物を干す手を止めて
どこまでも透き通るような青空を見つめ
再びあの幼い少女を思い浮かべた。
Aの行動によって
死の運命が書き変えられた者達は
本来待ち受けるべき未来を断片的に見る。
ならば──…
私も共にその未来を変えるため
努めましょう……瑠火は密かにそう決意する。
「今日はAさんが送ってくださった
さつまいもでお味噌汁を作りましょうか」
「さつまいも…！！」
その言葉に何処からともなく現れた
杏寿郎の嬉しそうな笑顔を見て
瑠火と槇寿郎は顔を合わせて口元を緩めた。
「おやつに芋ようかんもありますよ」
「よかったな、杏寿郎」
「わっしょい！！」
広い煉獄家の屋敷に
杏寿郎の元気な声が高らかに響き渡った。
彼らの再会は、まだまだ先である。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
続く
推しの心ヲタ知らず、ヲタの心推し知らず
それでも互いに惹かれてく
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亜紀野ユキ(プロフ) - 茨の谷の第2王子(ヲタク)←王子がそれでいいのかさん» そちらもご閲覧ありがとうございます(*^ω^) (2022年10月26日 14時) (
レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第2王子(ヲタク)←王子がそれでいいのか - リボーンの作品書いてたの作者様だったのですね！あの作品とても面白くて好きです！ (2022年9月28日 22時) (レス) id: 304b99e4d1 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - Zxcvbnm9090さん» (*´∀｀*)ﾎﾟｯ…ありがとうございます!!頑張りますb (2021年11月20日 12時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
Zxcvbnm9090(プロフ) - 鬼設定がまず面白い上に主人公のキャラが好きです！！推しのために貢ぐ笑最高でした！これからも楽しみにしてます！！ (2021年11月20日 9時) (レス) @page47 id: 2e6009ddad (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます(*´ω｀*)ﾃﾚｯ (2021年11月13日 7時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜紀野ユキ
| 作成日時：2021年9月10日 17時
