二百三話 吉原遊郭では… ページ9
「……それにしても
なんだって馬鹿嫁は遠出してんだ?
ケンカして三行半かァ?」
「それだけはない!!」
からかうような天元の言葉を
杏寿郎は毅然と否定する。
自惚れでなく相思相愛なのだ。
ただ、
「……反応が愛らしくてつい構い倒し
機能回復訓練を口実にして逃げるAを
執拗に追い回したことはあるが」
「心当たりあんじゃねぇか!!」
少しだけ思い当たる節もなくはない。
* * *
一方、その頃のAは、
───ガリ…ッ
「っ……」
「この味も癖になってきたわね」
腕の内側の柔らかいところを噛まれて
血とともに堪えきれない涙が滲む。
歯を食いしばって抑えた嗚咽が僅かに溢れた。
「アタシに喰われること…光栄に思いなさい。
───美しくて馬鹿な共喰い鬼」
苦痛に震える頬を撫でながら
浮世離れした美女が舌なめずりして
冷酷なまで蠱惑的に笑う。
整わぬ不規則な呼吸を繰り返し
Aはただその美貌に目を奪われた。
(圧倒的顔面偏差値…!顔良っ!!)
己の危機は十分理解してるが
覆い被さっているこの美女と目が合うと
つい見惚れて思考が飛んでしまう。
──ガリ…ィ
しかし、鬼の回復力で塞がった噛み跡に
再び歯を立てられて身体が跳ねる。
「ぃ…っ」
「目を閉じるんじゃないよ。
お前が誰のものかちゃんと胸に刻め」
途方もなく繰り返される狂おしい行為に
Aの心は緩やかに沈んでゆく。
すがるように遠くの彼に想い馳せた。
(痛い…しんどい……杏寿郎さんに会いたい)
温もりを思い出して
湧いた小さな力を振り絞って前を見据える。
なぜこのような事態に陥ったかというと
それを語るには
吉原に着いてすぐの時分まで遡る───…
* * *
【Aの目線】
遊郭編の戦いに向けて吉原にやってきた。
華やかな表舞台と対照的に
怪我や病気など…下層の暮らしは劣悪だから
せっかくだし改善に努めよう。
そこを回りながらまずは情報集めだ!
「…はい、治療は終わりです。
栄養を摂って身体を休めてください」
「ありがと…っ病で肌もこうなっちまって
死ぬしかないと思ってたよ」
「もう大丈夫ですよ。
どこだろうと生きるのを諦めないで」
切見世と呼ばれるここは様々な理由で
遊女として働けなくなった人が送られてくる。
この数日間、治療しながら散策し
ときと屋、荻本屋、京極屋など
今後の舞台となる場所も把握済みだ。
**********
続く
煉獄さんコレクション
煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり!黒板じゃなくて先生だけを見つめちゃうと怒られるよ
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亜紀野ユキ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます!続編もどうぞよろしく(^-^)/ (6月2日 0時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 久しぶりに作品見に来たらたくさん更新されててめっちゃ嬉しかったです!堕姫ちゃんとの関係のところで涙出ました...知らぬ知らぬうちに関係が深まっていって...(泣)来世のお話もすっごく良かったです。みんな幸せになって欲しいな...この作品をずっと応援してます! (6月1日 19時) (レス) @page40 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みっささん» 嬉しいです!近日中にまた更新します_〆(゚▽゚*) (5月8日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
みっさ - 初コメ失礼します!面白くて優しくて可愛いヒロインちゃんって神では!???何時も楽しく見させていただいてます!ゆっくりでいいので更新がんばってください! (5月8日 16時) (レス) @page47 id: 0ca1847e23 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - あさん» 頑張ります(〃ω〃)ポッ (5月8日 1時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2023年2月1日 16時