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二百二十二話 飼い犬に手を… ページ28

【Aの目線】


最初からわかってたのに…
どうしてこうなっちゃったんだろ。


───ぽた…ぽた…っ

ぐったり横たわる血まみれの私の頬に
上から温かい雫が何滴も落ちた。

怒り半分ともう半分は悲しみで
ぽろぽろ涙を溢す美女を見上げると
痛いのと申し訳なさで苦しい。


「っ…好きって言っただろ……アタシのなのに」


「……ごめんなさい」


人間だったらとっくに死んでる
致命傷を負っても鬼の端くれの私は生きてる。

ねこちゃんはこんな痛みに耐えたんだね。


「もういいっ…殺す!
 残さず喰らい尽くしてやるんだから!!」


感情をむき出しにした堕姫様は
いつもより幼げで可愛らしく思えた。

結局、嫌われちゃったし
名前すら呼んでもらえなかったな……
もっと上手いやり方もあったかな?


「でも……やっぱり好きだなぁ」


この涙の理由が私なのかと思うと
感極まって涙を溢しながら口元が緩む。


彼女の境遇に同情してるとか
とにかく容姿が文句の付け所ないとか
加虐的なとこすら魅力だとか…

そんな理屈抜きでこの人が好きなんだよね。



* * *



【目線なし】


時は遡り───…

墮姫の暴力から庇ったことで禿らと打ち解け
楽しげに話していた善逸だったが
鬼殺隊と露見したため直後に帯に囚われた。

それを見届けてAが人知れず涙する。


(最初で最後かもしれない
 善ちゃんのモテ期が無情にも終わった…!)


もちろん心配もしているが
涙の理由の大半はそんなものだった。


「何泣いてんだ」


「目に…ごみが入って」


墮姫に訝しげに問われて気を引き締め直す。

そして、

明日には身請けが決まっている
ときと屋の鯉夏を捕らえに行くのに
ついてくるよう言われた。


(留守番言い渡されても
 ついてくつもりだったからよかった…
 けど、なんでペット同伴なんだろ?)


帯に仕舞われて、はためきながらふと思う。

鬼殺隊が迫る中で非力なAを
置いてくのは忍びないという
隠れた墮姫の思いには気付かない。


そうして、


「その人を放せ!!」


ときと屋で世話になった鯉夏を守るべく
ついに炭治郎が立ちはだかった。

久しぶりの再会に自然とその顔が綻ぶ。


(そんな気はしてたけど
 やっぱりいたのかA姉ちゃん!)


これまでも任務地に先回りされていたため
敵の側に侍るAに困惑することなく
その姿を見て炭治郎はすぐ状況を掴んだ。

聞きたいこともあるが目の前の敵に集中する。



**********


続く

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煉獄さんコレクション

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亜紀野ユキ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます!続編もどうぞよろしく(^-^)/ (6月2日 0時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 久しぶりに作品見に来たらたくさん更新されててめっちゃ嬉しかったです!堕姫ちゃんとの関係のところで涙出ました...知らぬ知らぬうちに関係が深まっていって...(泣)来世のお話もすっごく良かったです。みんな幸せになって欲しいな...この作品をずっと応援してます! (6月1日 19時) (レス) @page40 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みっささん» 嬉しいです!近日中にまた更新します_〆(゚▽゚*) (5月8日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
みっさ - 初コメ失礼します!面白くて優しくて可愛いヒロインちゃんって神では!???何時も楽しく見させていただいてます!ゆっくりでいいので更新がんばってください! (5月8日 16時) (レス) @page47 id: 0ca1847e23 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - あさん» 頑張ります(〃ω〃)ポッ (5月8日 1時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜紀野ユキ | 作成日時:2023年2月1日 16時

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