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『ただいま』
「おかえりなさいませ、お嬢様」
屋敷に入ると、真っ先に迎えるのは執事の大野。
いつもは、送り迎えを頼まないから、
本当に時々、大雨の日に傘を忘れちゃったとか、
そういうお迎えの連絡を今か今かと待っている。
本当は、執事じゃなくて、別の、
こっちは時々じゃなくてしょっちゅう夢中になって呼び出しのベルが無意味だと使用人が困ってる、美術系のお仕事でも、多分食べていけるくらいには稼いでるんだと思う。
本人は楽しーことをしてるだけなんだけど。
門は、よく分かんないシステムで、
家族が前に立つと自動で開いて、玄関のドアもそれと同じ。
やたら広い庭は、何人もの庭師が手入れをしていて、
家の中にもたくさんの使用人。
「お持ちいたします」
『大丈夫よ』
「お嬢様、今日のお茶はいかがなさいますか」
『勉強するから、今日は準備しなくて大丈夫』
「かしこまりました」
自分のことは自分でできるのに、
それを手伝ってもらうのはなんだか罪悪感が湧く。
部屋のドアが閉まって、やっと、
息を吐いた。
『普通のお家がよかった...』
ただいま、って帰ったら、
おかえり、ってお兄ちゃんやお母さんが迎えてくれるの、
お母さんと夕ご飯を作って、
お父さんと4人で食べて、
そういう、距離の近い幸せが欲しかった。
――なにより学校一のお金持ち！
お金なんていらないの、
私は、仲のいい家族が欲しかった。
「お嬢様、」
『ん、』
着替え終わったタイミングで、
いつもみたく大野が入ってきて、
ふにゃーって感じで微笑んだ。
「今日、学校はいかがでしたか？」
『今日は、機織りをしたの』
「お嬢様は、指先が器用ですから、完成したらぜひ見せてください」
『そうね、』
指先は、大野のほうが器用でしょう。
もはや趣味を超えて、プロの領域に入っちゃってる、髪のアレンジメントをしてもらいながら、
とりとめのない話をした。
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あきんこ(プロフ) - ゆかりさん» 先生照れちゃいますよ(笑)いつも見ていただいて嬉しい限りです。 (2018年9月12日 17時) (
レス) id: 11450d0470 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 櫻井先生大好きです (2018年9月12日 10時) (レス) id: 8447f08366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきんこ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=akinko0125
作成日時：2018年9月5日 19時
