36余所見 ページ42
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「私も、話がある」
カナヲのその一言で更に緊張感が増す。でも、もう逃げられない。
「じゃあ、裏庭ん所行くか」
なるべく人気の無い場所を選んだつもりだ。
コクっと頷いたカナヲを見て、俺は早歩きで裏庭に向かう。
俺が裏庭の座れるスペースに腰を下ろすと、後から少し遅れてカナヲが隣に座った。
すぅ、と深呼吸をして、カナヲの目を真っ直ぐ見た。そして、口を開く。
「「あの!」」
見事に被ったが、笑える雰囲気でもなく、ただ沈黙が流れるだけ。
「か、カナヲ先にどうぞ」
「あ、う、うん」
(ああ〜!!!俺は何を行っているんだ!!言うって決めただろこの馬鹿野郎!!!!)
心の中で自分を叱る。
「──あのね。落ち着いて聞いて欲しいんだけど、」
やべ、落ち着いて聞ける気がしない。
むしろ心中めっちゃうるさい。
「私、私ね...。今までずっと言えなかったんだけどね...」
「ちょ、ちょっと待って!」
俺はカナヲに背を向けてしゃがみこむ。
いや、さ...。カナヲの顔が真っ赤な訳よ。これさ、絶対 炭治郎の事だよな。
もう心折れそう。逃げたい。埋まりたい。泣きたい。記憶喪失したい。
「幸...。じゃあ、そのままで良いから聞いて。...もう、気付いているかもしれないんだけど、」
ああ、気付いているよ。お前が炭治郎の事好きだって。
だから、言わないで。その口から聞くと、もう想いを言う気になれなくなるから。
だから、だから、やめてくれ。お願いだから──。
「私、幸の事好きなの」
「...ああ、うん知って........ん?」
「ずっと、幸の事好きだった。...だけど、私、伝える勇気が無かった。でも、今なら言える。
...幸の事、大好きだって」
────カナヲが、俺の事好き?────
え、え、え....え?
動揺で思考が追い付かない。
カナヲは、悲しそうに目を伏せる。
「け、ど、幸は美琴さんの事が好きなんでしょ...?だから、返事とかはだいじょ...わっ」
「....っ、そ、そんな訳、ないだろ...!」
カナヲをぎゅっと抱き締める。
花のような良い匂い、サラサラな髪の毛、女の子の柔らかさ。変態だと思われても良い。俺は、俺は───。
「ずっと、こうしたかった...!」
もう逃がさないというように強く抱き締める。
カナヲが悲しんでる時、頑張っている時、嬉しい時、ずっと、ずっと、抱き締めたかった。
好きだ、大好きだ。
他の誰でもなく、カナヲの事が。
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☆次回最終話───!
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天の川(プロフ) - 5回目以上の読み返し。はぁ…最高すぎるわ…てか主さん主さん!カナヲは僕の嫁ですよ!!(真剣)(笑) (2022年2月28日 13時) (レス) id: 2d6957fece (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - うわあカナヲちゃん好きなので最高です!! (2020年8月14日 18時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!!幸くんの最後の台詞にやられました!幸くん、男前やん。もうものすごいにやにやしてましたw気持ち悪いぐらいにwお疲れ様です! (2020年5月28日 12時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃんこ - お疲れ様です!別垢見つけたら絶対に作品見ます!! (2020年4月28日 17時) (レス) id: cf6601d86b (このIDを非表示/違反報告)
かたつむり。(?)(プロフ) - 宙さん» 暖かいコメント、ありがとうございます‥‥。叩かれる覚悟で言ったのに、そんな優しい言葉をかけてくださり、本当にありがとうございます‥‥!涙出ます‥‥! (2020年4月27日 22時) (レス) id: 40246c291e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かたつむり。(?) | 作成日時:2019年12月22日 8時