4話 デスノート ページ6
Aは途端に馬鹿らしくなった。
名前を書いたら死ぬだなんて、そんなことがあってたまるか。
アニメでもなんでもない、ここは現実の世界。
名前を書いたらその人が死ぬだなんて、そんな恐ろしい物、この世にあってはならないだろう。
「ふん、なによこれ!面白いものが見れると思ったのに!」
時間の無駄だった。
いや、私はたかがノートに何を求めていた?
己に呆れつつ、飽きたと言わんばかりに、ノートをそこらで乱暴に放り投げ、Aは家に帰った。
…なんて
「…私って、ほんとバカ」
部屋の机に置かれている黒いノートを見つめながら、自分のした行動にAは我ながら呆れていた。
持って帰ってしまったのだ。
あのまま、ノートを捨てて帰ろうとしたのに、なぜか体がそれを拒否した。
見つけたからには自分で持たなきゃダメだと、ノートが警告しているような気がして。
「名前を書いたら死ぬ、ね。
…あー、もう中二病満載じゃんか!!」
月「おーい、A?ご飯だよー」
「ピャッ!?あ、すぐ行く!」
扉越しに聞こえた月の声に、Aは思わずノートを隠すような体制をとってしまった。
慌てて返事をすれば、Aの声を確認した月は、軽い足取りでリビングへと降りていく。
…ビックリした。
もしドアを開けられてノートを見られたら、なに拾ってきてるの?なんて月に笑われるところだ。
「隠しておかないとね」
サッとAが机の引き出しを開ける。
その中には、Ωがフェロモンを抑えるために服用する"フェロモン抑制剤"が、大量に入っていた。
机の引き出しには、この薬だけしか入れないようにしているが、今は緊急だ。
乱暴にそのノートを引き出しに入れると、Aは急いでリビングへと向かうのであった。
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作者名:あっきー | 作成日時:2019年5月1日 12時