26話 式終了 ページ28
L「…それはどうも。
名乗ったのは、キラ事件解決の力になって頂けるかもしれないと思ったからです」
LがAから目線を外し、月と会話をする。
その間に、Aは己を落ち着かせ、平常心を保ちながら必死に考えた。
…分からない。父や私たちの存在を知っているという事は、間違いなく警察関係の者なのだろうけど、なぜLだと名乗る必要があった?
私や月が動揺しないか、反応を見ていたのか?
(…キラだと、疑われている?)
それに、Aはこの男を殺せない。
この男が本当にLでも、Lじゃなかったとしても、キラ事件を担当している父には、顔を明かしているだろう。
Aと月に対し、"私がLだ"と告げたこの男が死ねば、真っ先にAと月が疑われる。
…つまりこの男は、Aにノートで殺される事もなく、好きなだけ、大学でAや月の身辺調査が出来るというワケだ。
(…一本、とられたわ)
『それでは、式を終わります。一同、解散』
その言葉で、糸が切れたように、会場が人の声で溢れだす。
隣で背伸びをする月を横目に、Aが男の様子を伺おうと一瞬だけ目を向ければ、バッチリ男と目があった。
L「…」
「…」
L「あの、」
男が声をかけるも、"お前と会話をする気もない"といった様子でAは鼻を鳴らし、乱暴に席を立つ。
後ろから月の声が聞こえるが、Aは月を無視して、急ぎ足で会場の出口へと歩いていった。
…苛立った様子のAを、月は追いかけようとは思わない。
月「Aってば、何をあんなに…」
L「私、Aさんに随分と嫌われているみたいですね。悲しいです」
月「え?あ、Aは誰にでもあんな感じですよ。今日はちょっと、刺々しかったけど」
L「…へぇ」
Aはまた一人で帰るのかなぁ、と怒る母を頭に思い浮かべながら、月は男と共に、会場を出ていく。
L「夜神くーん、今日はどうも」
月「いえ、こちらこそ」
L「今度はキャンパスで。Aさんにも、よろしくお伝えください」
男を迎えに来たリムジンに、月は驚愕するのであった。
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作者名:あっきー | 作成日時:2019年5月1日 12時