私がキラでも【デスノート】 (ページ26)

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24話　新入生挨拶ページ26

(まさか、こんな奴がね…)

舞台の階段を上りながら、自分の後ろを歩く男に、Aは複雑な感情を抱いた。

顔は、明らかに日本人の顔ではない。ヨーロッパ系の血が入っているのだろうか？
流河旱樹は偽名だろうな。コイツの本名ではない。

…なぜ、自分の名前を隠す必要が、あるのだろうか？
この男は、謎が多すぎる。

(後で、殺してやろうと思ったのに)

偽名ではデスノートに名前が書けないなぁ、とAは落胆する。
本来であれば、どんなにムカつく奴がいても、犯罪者や、自分の正体を探る者でなければ、Aは相手を殺す事は絶対にしない。
だが、この男は必ず殺そうと、Aは決めていた。

…なぜなら、この男はAがΩだという、Aにとって最大の弱点を知ってしまった者だったからだ。
もしΩだと学校でバラされたりでもすれば、Aの立場は危ういだろう。
なにより、月にバレるのはもっと嫌だった。

月「新たな命が燃えいずる__」

目の前で月が紙を持ち、マイクに向かって文章を読んでいる。
その間も、自分の隣に立つ男が気になって、Aは仕方がなかった。

月「A、」

小声で名前を呼ばれ、自分の番だと言うことに気付いたAは、慌てて前に立ち、紙に書かれた文章を読んでいく。

「新たな命が燃えいずる…__」

どうせ同じ文章なのに、三人も言う必要があるのか？と、心の中で毒を吐きながら、Aは最後まで、新入生への挨拶を読み上げていった。
Aは一歩下がると、男にマイクを譲る。

？「えー、新たな命が燃えいずる__」

…やっぱり変わっている。
男のダラしない後ろ姿を見ながら、Aはそう思った。
紙を人差し指だけで持つその姿は、正直、舐めているとしか思えない態度だ。…まぁ、テスト中に体育座りをするような男だしな。

呆れながら、ふと男の持っている紙に目をやった時だ。

「！」

紙には何も書かれていない。
白紙だった。男の持つ紙に文章など、書かれていなかったのだ。

(丸暗記！？んなバカな…！)

男はなに食わぬ顔で読み終えると、再びAの隣に並ぶ。
新入生の挨拶が終わり、拍手に包まれながら、三人は元の席へと戻っていった。

Aが音を立てないように、ソッと椅子に座った時だ。月の隣で体育座りをした男が、月とAに話しかけてきたのは。