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22話 入学式 ページ24

「もー、なんで一番前の席なの?寝ようと思ってたのに…」

月「新入生代表として、挨拶をしないといけないからね。仕方ないよ」


文句を垂れるAの隣で、月は、新入生代表の挨拶が書かれた紙を黙読している。
Aも、事前に渡された、新入生代表の挨拶の紙を読んでみた。

…そこには、月の持っている紙とまったく同じ文章が書き綴られているではないか。


「うわ、なにこれ。最初から最後までぜーんぶ月と同じじゃん。こんなの、月が読むだけでよくない?」

月「Aの分まで、僕が読んでやろうか?」

「別にいいよ。自分でやるって」

月「はは、ジョークだよ」


入学式が始まるまで、時間はまだある。
紙を黙読する真面目な月の隣で、Aは、暇だなぁと天井を見上げた。


リュ「うっほほ〜、ここ広えなぁ〜」

「…」


死神が、会場を飛び回っている。
そういえばリュークも居たなぁ、なんてAが呆れたように笑ったその時だ。



ビビビッ!!



「ヒッ!?」

月「え?」


突然自分を襲った電撃に、Aは椅子から飛び跳ねた。
それは一瞬の出来事であったが、Aは急いで立ち上がり、辺りを警戒する。

もう二度と感じたくなかった感覚なだけに、Aは顔を歪ませた。


「あの男もこの大学なの…?ほんッと最悪…」

月「A、どうかした?」

「え、あ、いや別に!?」


戸惑う月を見て、Aは笑いながら、再び椅子に腰がける。

あの男の姿が見えない。
だけど、必ず近くにいるはずだ。
そう、本能が叫んでいるのだから。


(あぁ…!もう運命の番なんてクソ食らえ…ッ!)


家を出る前に、フェロモン抑制剤を多く飲んでいて良かったと、Aは思う。
またヒートしたら、大変なことになっていた。

…どうしてこっちが、αに気を使わないといけないんだろう。やっぱり世界は狂っている。


「月、私はこのくっだらない世界を変えたい」

月「え?なに急に」

「前から思ってた事だけど」

月「あはは、Aの可愛さなら、世界を変えられるかもね〜」

「ねぇ!私は本気で…!」


子供を相手にするような態度である。クスクスと笑い出した月に少し苛立ってきた所で、Aの体は硬直した。

月の隣に座った男に、見覚えがあったからだ。


「…は?」


椅子の上で、体育座りを始めたその男の顔を、もちろんAは知っている。

見違えるはずはない。
私の、運命の番の男、なのだから。

23話 新入生代表→←21話 テスト終了



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設定タグ:デスノート , L , オメガバース   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:あっきー | 作成日時:2019年5月1日 12時

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