大空に舞う白雪第２章 (ページ10)

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第58話　雨の日と… ページ10

昨日からの雨によって空はどんよりとし、ボンゴレの城内もどこか雰囲気が重苦しい中、私は自室の窓際に置いてある椅子で読書をしていた。

普段なら暇な時間さえあれば散歩をしたり町の子供たちと遊んだりするけれど、こう天気悪ければ外に出歩くこともできない。

何か暇が潰せることはないか、そう想って先程図書室に行き気になった本を何冊か借りてきたけど、数ページもすればいつのまにかぼんやりと窓の外の景色を眺めている自分に気づいた。

そんなことを繰り返しているうちにこのまま読んでいても全然内容が頭に入ってこないだろうと諦め本を閉じた。

どうも雨は苦手みたい。

嫌いと言うわけではない。

ただ苦手。

そう思うのは今朝ロシアから、つまり実家から届いた手紙も１つの原因であることはわかっている。

それがたまたまどしゃ降りの日と被ってしまった。

それはどうしてもあの日のことを思い出してしまうからだろう。

もう10年前のことなのに。

忘れようと思っても、雨が降る度脳裏にちらつくあの日の出来事。

もう２度とあんな辛い思いをしたくない。

けれどもし自分がまた引き起こす原因になってしまったら？

それが怖くてたまらない。

A ｢(いけない。このままここにいても気持ちが沈むだけだわ。)」

閉じた本を小さなテーブルに置いていた手紙を隠すように置き、私は部屋を出た。

ジョットSIDE

昨日から雨が続いている。

どうやらしばらく止むことはなさそうだなと思わずため息が出た。

サインしていた書類を書き上げてペンを置き軽く体を伸ばす。

だいぶ片付いたな。

この間ほぼ一日をかけて整理したからか部屋中に山積みになっていた書類は机の上に数十枚あるかないかまでに減った。

普段からこれぐらい少なかったらいいんだがな。苦笑

そういえばAは今頃何をしているのだろう？

さっき昼食をとったときは一緒にいたがどこか雰囲気が暗かった気がする。

一区切りついたし様子を見に行くか。

そう思っていつものマントを羽織り、部屋を出た。

続く