love at first sigh (ページ29)

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story28 ページ29

信じるも疑うもわたし自身、
なら、いっその事この決断、
泡の様に消えたらいい。

ーーー

秀人のこと信じたいと思った。
なのに、どうして、疑いの気持ちばかり増えてくの？

目の前で微笑む彼のことが、分からなくなっていく。

浮気の証拠があるわけでもないし、秀人が別の女性といるところを見たわけでもないのに。

なのに、どうして、心から信じてあげられないんだろう？

言いようのない不安だけが、私の中でまた大きくなっていくのを感じた。

｢心愛どうだった？｣

秀人との話を終えて受け付けに戻ると、結愛ちゃんが心配そうな顔で聞いてきた。

『口紅は秀人の会社の同僚の人が車に乗った時落としたんだって』

さっきの秀人との会話を、結愛ちゃんに大まかに話した。

｢確かにそれだけ聞いたら何もなさそうだね。
意外と心愛の思い過ごしかもしれないから、信じてみたら？｣

『…うん、そうだね』

私の考え過ぎなのかもしれない。
口紅を見つけただけで、最近会う回数が減っただけで、彼の家に行く機会がなくなっただけで、

ただ、それだけでこんなに疑う方がおかしいのかもしれない。

その後は淡々と仕事をこなして受付初日は無事に終わった。
私服に着替えて、会社を出て、結愛ちゃんと別れる。

あったはずの約束がなくなり、家に真っ直ぐに帰ろうと思って駅に向かったけれど、なんとなく、まだ家に帰りたくないと思った。

こんな日に、一人は辛い。

そして、向かった場所はあの定食屋。

人の温もりが恋しい。