love at first sigh (ページ15)

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story14 ページ15

時々分からなくなる、
いちばん大切なモノって一体何だろう？

ーーー

私の家に向かう途中、スーパーに寄って食材を買った。
今日の夜ご飯は秀人が好きな唐揚げにしよう。

｢あ、お酒買うの忘れたね。ちょっとコンビニで買ってくるから待ってて｣

『あ、うん』

そう言ってスーパーから出た後、買い忘れたお酒を買いに行く秀人を車内で待つ。
几帳面な彼の車内は相変わらずいつ見ても綺麗。

車内のBGMを変えようと、オーディオに手を伸ばして姿勢をずらした時、何かが足に当たる感触がする。

ん？

ふと、足元を見ると、そこには高級ブランドの口紅が落ちていた。

...口紅？

微かに震えるで、その口紅を拾う。
これは、...誰のモノ？

見覚えのない口紅に戸惑ってる私の元に、秀人が買い物を終えて戻ってくる。

｢ん？何かあった？｣

『...なんでもない』

秀人には気付かれないように、咄嗟に持っていたカバンに口紅を入れた。

いつもの様に笑えなくなった私の隣で、秀人は上機嫌で私の家に着くまでの間、自分の話ばかりを続けてる。

え？なんか言った？
秀人の声とBGMの曲すら遠くに聞こえる。

ただ、頭に浮かぶのは口紅(ダレカノモノ)のことばかり。

家の鍵を開けて入ると、すぐに秀人は私のことを抱きしめた。

『秀人、ちょ、ちょっと...』

必死に体を離そうとするけど、力一杯に抱きしめられた腕は力強くて上手く解けない。

｢ずっと心愛に会いたかった｣

久しぶりのキス。
普段は優しいキスをくれる人なのに、今日は違う。
強引な激しいキスに苦しくなる。

『く、苦しい』

｢...愛してる。｣

...愛して、る？

私？それとも私じゃない他の人(女性)？
秀人の心には私以外の誰かがいるの？

私を嫌いになったんなら他の人(カノジョ)とお幸せに。

なんて、

そんなこと言えないよ。
映画の恋じゃないもの。

こんな不安な気持ちを、和らげてくれるその力、
秀人しか与えてくれないから。

だけど、どうも無理そう。

この日の私は、初めて彼に不信感を抱いてしまった。