遠い空 2 (ページ30)

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俺が初めて、
本気で好きになった女。

ーーー

選手皆の視線が痛くて、
本当は喉が乾いていたけど、首を横に振った。

｢誰?｣

｢卓さんの彼女?｣

と、周りの選手達が卓さんを、
集中攻撃かの様に聞いていた。

ただ、一人を除いて…

｢違うばい。笑｣

そう、皆にはぐらかして、
私と遥輝を交合に見る卓さん。

｢ってか、もうよかけん行こ!｣

卓さんは皆をムリヤリ引き連れて、
ランニングを再開し始めた。

ただ、遥輝だけは、呆然と私を見た後、
いきなり自分の被っていたキャップを取り、
何も言葉を発せずにジェスチャーで、
キャップを取れと指示しだした。

その通りにキャップを取ると、
こっちに投げろと手を動かした。

そのまま取ったキャップを遥輝に投げると、
今度は遥輝が自分が被っていたキャップを、
私に投げ返してきた。

卓さんのキャップは遥輝が被り、
皆の後を追うようにして走り出した。

遥輝が被ってたキャップは、
汗の臭いと、遥輝の特有の匂いが微かにした。
懐かしい香り。

卓さん達に追いついた遥輝は、
被ってたキャップを卓さんに渡して、
卓さんは私に振り向き笑っていた。

試合は勝ち試合になり3連勝をした。
今日はデーゲームやったので、
夕方には終わった。

卓さんにLINEをして帰ろう。

Aお疲れ様です!
3連勝おめでとうございます!
今から東京に帰りますね^^*

卓さんありがとう^^*
鍵は遥輝に連絡して!笑

そうきましたか。
さすが卓さん…

遥輝宛にスマホのキーボードに言葉を選んで、
何度も打っては消しての繰り返しで、
なかなか送信することが出来ずにいると…

『…も、しもし?』

｢おー、｣

『…遥輝?』

｢.....｣

『遥輝?』

｢…ごめん。

もう、あんなこと二度と言わへんから、

ずっと俺の傍にいろよ…｣

『うん。』

｢お前に、

嫌な思いばっかりさせてんな、俺。｣

『ううん。』

｢今どこ?会いたい…｣

『私も。』

｢裏口に来て。｣

『分かった。』

久しぶりに電話越しで聞いた遥輝の声。
あの時の少し苛立った様な声でもなく、
少し緊張が伝わる声音。

女を輝かせてるのは、
化粧でもなく、仕事でもなく、

恋をする"その想い"