カフェ1 ページ31
【主人公】
東京から戻って何日か後、お土産を渡しに親友のカフェに遊びに行った。
行くのはいつも営業終了後だ。
ダウンライトの灯ったムードのある親友のカフェはどこよりも落ち着く。
「へぇ。じゃあいい結婚式だったんだ。あ、お土産サンキュ」
片づけを終えたみかちゃんが、2人分のホットココアを持って隣に座る。
お土産はチューリップとバラの形をした人気のお菓子にした。
「あれ?Aにしては女子力高い!」
「でしょ?たまには私にもこんなこと出来る!」
あははと笑い合う。
「そういえば、前に言ってた彼氏とはどうなの?」
「うん。今はかなり上手くいってるかな。幸せ過ぎるくらい」
「今はって何?まるで今だけみたいな言い方」
「そうじゃないんだけど…」
「何?どしたの?」
みかちゃんに優しく顔を覗き込まれると、何でも素直に話したくなってしまう。
それは昔から変わらない。
「ずっと一緒にいられるって信じようと思ってる。けどいろいろ考えちゃって。心のどこかで先のことは考えちゃいけない相手だと思ってて、それが苦しいかな」
「先のことって、結婚ってこと?」
「究極は結婚だけど、そこまで行かなくてもそういう時期が来たら諦めなきゃって思ってて」
「それってどんな相手よ?」
「んー、簡単に言うと釣り合いが取れてない。あと物事に対する考え方が違うの」
「相手がすごい人ってこと?それともすんごいダメとか?」
すんごいダメって言い方がおかしくて笑ってしまった。
「すごい人ってこと。仕事ですごい実績出してる人で誰から見てもパーフェクト」
「いい相手じゃない!経済力もあるんでしょ?」
「多分…かなりある」
みかちゃんの顔がパーッと明るくなる。さすが商売人だ。
「何の問題もないじゃない。お互い好きなんでしょ?」
「私は今までにないくらい好き。相手も私を想ってくれてるとは思うよ」
「じゃあいいじゃない」
みかちゃんはニコニコしながらココアを飲む。
「うん。でもちょっと複雑で。忙しい人だし、ずっと一緒にいるのは難しいかな」
自分で言ってしまった言葉があまりに寂しく感じて、ココアのカップで指先を温めた。
みかちゃんが私の顔をじっと見つめて言う。
「その彼と、どうやって知り合ったんだっけ?」
「あれ言ってなかったっけ?親同士が知り合いでお見合いしたの」
「聞いてない。そっか。お見合いだったんだ。安心した〜」
みかちゃんはテーブルに突っ伏して脱力した。
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らっき(プロフ) - エミルさん» コメントありがとうございます(*^^*)今後はハラハラドキドキというかなんというかの展開(なんだそれ)になりますが、楽しんでいただけたら嬉しいです!お互い楽しんで書けるのが一番ですよね!頑張ります。 (2021年11月23日 21時) (レス) @page49 id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 自己満足で書いているけど、やっぱり読んでいる方がどう思われているのか気になりますよね〜。この先はハラハラしそうな展開でしょうか?移行後も楽しみにしていますね。 (2021年11月23日 10時) (レス) @page50 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 鹿さん» この後徐々に何かが起こります!(そりゃそうだ)私ももっと日常の羽生さんを書いてみたいなーと思います。(願望)いつもコメントありがとうございます(*^^*) (2021年11月22日 22時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 何かが起こりそうな予感がぷんぷんする!続きめちゃ楽しみです^^羽生さんのご自宅での様子が垣間見れて幸せでした!確かに、読者さんの顔が見えないのはさみしいですよね^^ (2021年11月22日 16時) (レス) @page50 id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 鹿さん» 相談相手、いると良いですね。スケートのことなら誰にでもサラっと聞いちゃいそうですよね。んでプライベートのことは話さなそうなイメージです。昌磨さん、平昌の時に比べるとメチャクチャ大人になってました。可愛いからカッコいいになりました。私の中で(笑) (2021年11月16日 8時) (レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らっき | 作成日時:2021年10月13日 14時