秋近し哀遠し

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「･･･藤ヶ谷、それあってんの？」
「うん。完璧」
「違うから！ガヤさん、少し違うから！」


千賀が教えてくれればいいのに
何故か千賀と俺の間には藤ヶ谷がいた。


藤ヶ谷を挟んで千賀のダンスを覗き込む。



「･･･ってゆーか、千賀が前来てくれればいいだけじゃない？」


見づらく何気なく発した言葉に千賀は、そーだよね、ダンスってそういうもんだよね、とハッとしてた。
ダンスレッスンを受けてるくせに、千賀も藤ヶ谷同様天然なのか？


結局、千賀を前に千賀の後ろ姿を見ながら、進めていく。手の動きに関しては振り向いて教えてくれて楽しそうな千賀はカッコよくて輝いていた。



暑さから水分補給をするため止めてぐびぐび3人とも飲む。


「千賀ってダンスしてる時すっげーかっこいいな」
「ホント！？」


思ったことをベットボトルの口から離して告げると、千賀は前のめりになり、満面な笑みで喜ぶ。


「・・・」


「宏光も覚えいいよ！教えがいがある！」


「マジ！？足でまといになってない？」


「なってない、なってない！ガヤさんもすごいし」


藤ヶ谷とツートップか。
隣で藤ヶ谷は他校の女子から甘い声援があるんだろーな。
つくづく綺麗な横顔。
鼻高いし、シュッとしてる。



「・・・健永、もうちょっと北山との絡みを入れると盛り上がると思うんだけど」
「･･･ガヤさん、それってただの願望でしょ」
「・・・？」
「絶対盛り上がる、ほら、こーやって」


「・・・をう！」


次の瞬間、藤ヶ谷は手に持っていたペットボトルを地面に置くと、急に俺の右腕を引っ張った。
そのためバランスを崩し、手に持っていたベットボトルの水が零れ、胸元あたりにかかった。
水でシャツは濡れ、つめたい。


その濡れた胸元には、藤ヶ谷の腕がある。
引き寄せられ、抱き締め･･･られてる？


見上げた先には藤ヶ谷の顎が見える。
このアングルから見える藤ヶ谷は高校生とは思えないぐらい色気で溢れていた。


･･･やばい！かっこ、いや、可愛い。



「ちょっと！！！！！ガヤさん！！！そんなことしたら学校中の奴らからすごい目で見られるよ！」


慌てる千賀、


ちょ、何！？
藤ヶ谷！？


そんなに横尾さんに嫉妬してもらいたいのか！？


･･････ってゆーか、なんで、俺........


こんなに心臓がうるさいんだ！？！？



「ミツ！！！！！足捻った！！！」


横から叫ぶ声が聞こえてきて、顔を向けると玉森が地べたに座り込んでた

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