秋近し哀遠し

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心が痛い
玉森の全身から愛が溢れているかのようで
思わず泣きそうになってしまった


だって背中越しに玉森の鼓動を感じたから


吐息に「自制」を感じたから
さすがに経験はなくとも俺だって高２男子だからなんとなくは、分かる。


ーコッチの俺？
どっちを選ぶのが正解？
お前はどっちが好きなの？


月に攫わられる前に
俺が決めてもいいの？


「･･･取り敢えずポテト食お」


立ち上がり、月に背中を向けると、クッションに座りポテトとバーガーに手を伸ばす


前来た時は何も思わなかったのに
勉強机の上で、二階堂と三人で写ってる課外活動の写真がイヤに哀しく感じた
秋の空気がそうさせていくのか
切なく苦しくなりそうになる


哀遠し、これは俺のモットーなんだから、
弱気になっちゃダメだ。
もっと明るく！


明るく･･･


明るく･･･


眠い･･･


疲れがどっと押し寄せてきたのか眠気が最高潮に達し、俺は気づいたらポテトを片手に摘みそのままテーブルに伏せ眠ってしまっていた


眠りについた俺は
風呂から上がり戻ってきた玉森が俺の隣りに来て
髪を撫で


「･･･勝敗はもう気づいてるから。一週間だけ悪足掻きさせて？」


そう哀しそうに呟いているなど知らず
よだれを垂らしてるんじゃないかという勢いで寝ていたみたいだった


･･･色気も何も無い。
こんな俺のどこがいいのか謎だ


目覚めると窓からは明るい光が漏れてきていた
背中にはブランケットがかけられ、隣りでは玉森がテーブルにうつ伏せになり眠っていた


横から覗く肌は白く、部活をやっていないその肌は傷みを知らない様に透き通っている
部活で焼けた真っ黒の俺とは正反対


玉森もここで寝たんだ、
ベッドで寝ればいいのに
きっと気を遣ってくれたんだ


まだ気持ちよさそうに眠っている玉森を起こさぬように、リビングへと向かうとお母さんが出かけるところだった。その時にお風呂に入るのとキッチンを触らせてもらう承諾を得たので、先にシャワーを浴びさせてもらった


浴びずに寝てしまったので少し気持ち悪かったけどすぐにサッパリ出来て良かった。
そのままタオルドライだけ済ませ、キッチンへと立つ。冷凍庫を拝見させてもらってお米が冷凍されていたためレンジで解凍し、卵があったので頂き焼いたベーコンを切り卵にとぎ玉子焼きとほうれん草、豆腐、そしてインスタント味噌汁を準備した


栄養のことなんて二の次で食べれればいいだろ！と意気込んだものの出来た配膳に一人肩を落とす

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