秋近し哀遠し

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付き合うってなんだろう
恋をするってどんなんだろう

ずっとそう思ってた。
中学では共学だったけど、男友だちとばかりつるんでたし、部活命だったし。


高校になって男子校になって
女子との関わりは減った。
たまに入るバイトでは女子と話すこともあるけど、何を話したらいいか分からず、女子を自然と避けるようになっていた


･･･でも、俺が好きなのは女の子だ。


･･･決して、男が好きな訳じゃない。


・・・藤ヶ谷が他の女の子に告られてるからイライラするなんて
冗談じゃない！
これは横尾さんと玉を想っての嫉妬心だ
ふたりの感情が乗り移ってるんだ。


「北山、今の･･･誤解だから」
「･･･べつに。むしろ偶然見て悪かったな。邪魔だったろ」
「邪魔なんて･･･！」
「･･･藤ヶ谷、彼女できたの？それとも、あの子彼女なの？」


横尾さんの気持ちを思うと許せない。
でも、この胸の痛みはそれだけだろうか。
いや、それだけだ。



「彼女じゃない！」
「･･･でも、ありがとうって返してたじゃん」


今朝の出来事。
補習のため登校した時、裏門からの登校が便利な俺は朝は裏門から来ることが多い。
その裏門は夏休みということもあり、人通りが少ない。
そこに二つの人影があったのだ。

他校の名門女子高の制服を着た女子と藤ヶ谷。


その女子が、何かを差し出しながら「好きです」と言い「ありがとう」と藤ヶ谷が返してる、そんな場面に居合わせてしまった。


立ち止まってしまい藤ヶ谷に気付かれ俺は申し訳なくて全速力で校舎に入った。


「ありがとう」その返事に胸が痛くなり、ぎゅっと胸元のシャツを掴み、しゃがみ込んだ。下駄箱で。
何でこんなに胸が痛いのか。それは横尾さんと玉森の気持ちを思ってだと思うし、言い聞かせた。


足音が聞こえてきて、そんなしゃがみ込んだ俺の視界に入ったのは･･･藤ヶ谷だった。
走ったらしく、少しだけ息が荒い。


「ありがとうとは言ったけど、あれは断る前提でのありがとうだし、断ったよ」


･･･べつに俺に弁明しなくても。横尾さんたちにチクッたりしねーよ。
でも、良かった。･･･良かった？
必死な藤ヶ谷にどこか安心してしまう。
･･･男同士の妄想を繰り広げたせいで、俺までもが男同士の恋愛にまるで落ちていくような･･･そんな、感覚。


･･･待て！俺は女の子が好きだ！
忠くんのバカ！


「別に俺には関係ねーから」
「俺が北山に誤解されたくないんだよ」


藤ヶ谷の綺麗な瞳に俺がうつる

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