秋近し哀遠し

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部活を終えると、どうしても今日のことを大倉に報告したくて、また昨日と同じファーストフード店へと来ていた。


大倉が周りを見てドラマを作ればいいというアドバイスをくれて、早速実行したら愛で溢れていた。
そのことをどうしても伝え共感して欲しかった。


カップリングまで披露し(さすがに宮田の恋心は伏せておいた)熱弁すると大倉は意外にも笑わず聞いてくれた。


今日の中庭での出来事なども思い出しながら話す。いつになく自分で言うのもなんだけど饒舌だと思う。


話に夢中になりすぎて炭酸ジュースは氷で薄まってしまっていて水滴までもがテーブルに垂れている。


「すごいカップリングやな。宏光の観察力は半端ないわ」
「だろー！」


大倉は関心したように頷き褒めてくれる。
別にたいしたことじゃないけど褒められると嬉しい。


「ほな、次は観察力を違う風に発揮してみ？」
「違う風･･･？」
「おん。皆が自分を･･･宏光を好きだと仮定して接してみ？」
「は！？んなこと出来るわけねーだろ！皆個々に想い人もいるんだし！」
「宏光の言いたいこともわかる。でもな、明日はそう考えて接してみ？楽しそうやろ？」


･･･楽しそう.....？
ハチャメチャなことを言ってる大倉だけど確かに大倉の助言のおかげで今日は周りを観察できとても楽しかった。
今日のドラマ作りだって、いやもうそこからハチャメチャなんだから、今更だ。


･･･皆が俺を好き、そんなこと有り得ない。
有り得ないから楽しいかもしれない。
どこかに矛盾を感じたりしてそれを活かしもっとドラマも作れるかもしれない。



「･･･確かに。悪くないかもしれない。取り敢えず思い込んでみる」


皆が俺を好き。
そんな有り得ないことを考えると虚しくもあり
わくわくもした。矛盾することなくストーリーを組み立てたい。出来るのであれば。



「･･･ちなみに、宏光は誰がタイプなん？」
「べ、別に！タイプなんてねーよ」
「わーってる。強いて言うなら、や。どきどきしたりしーひんの？誰かに」


どきどき･･･
藤ヶ谷に抱き寄せ(演出だけど)られたりとか
玉森にホールドされたりとか、


確かにその時どきどきしてた、気もする。



「･･･いねーよ。そんなの！」
「間があった気がするんやけど？親友に隠し事はできへんで？」
「〜〜！もう！藤ヶ谷！」
「･･･え？」
「今日藤ヶ谷に引っぱられたときとか、玉森の上に倒れた時とか･･･何となく心臓が」


自分で言っていて顔が熱くなる

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